| 邦題『ミート・ザ・ユートピア』。ユートピアのこのアルバム、ビジュアル的なコピーとか、サイド・ストーリーとかがない分ラトルズより人気は落ちるが、音だけとったら負けていない。
トッド関連のアルバムはしょっちゅう廃盤になったり、発売元が変わったりして、このアルバムもしばらくCDショップから姿を消していた様だが、この間見たら無事復活していた。
1980年の発売当時、あまりのそのまんま振りにトッド・ファンからも賛否両論が出たらしいが、後の変遷を見ると、この位まだかわいいもんでしょう。
このアルバムの面白いところは、いくつか「ビートルズのイメージ」を使ったトリックがあるところ。
例えば[4]とか[10]なんていうのは「ちょっと間抜けで憎めないリンゴ」が歌ったらいかにもはまりそうな曲ということだろうが、そういったリンゴのイメージの多くは映画『ヤァ!ヤァ!ヤァ!』から来たもの。実際に「僕ってドジ」って感じの歌詞を歌っているかというと、ないよね。そこまで真正面なのは。
[10]の冒頭の電話をダイアルするSEもいかにも中期のビートルズ的だけど、実際にはそんなもの存在しないもんね。
[5]なんかも『アンド・アイ・ラブ・ハー』的な泣きのメロディーをジョージ風ボーカルが切なげに歌うというものだが、考えてみると初期のジョージって泣き節ないんだよね。どっちかと言うとお気楽な曲が多い。しかし、「いかにも」と聴かせてしまうところがところがすごい。
合成パターンを使った曲もある。たとえば[10]は『ゲッティング・ベター』と『フィキシング・ア・フォール』を合成。この二曲、もとのアルバムの中での曲順が近いせいか、何となくくっつけられても違和感がない。これも一種のトリックと言えなくもないか。
[12]は『ストロベリー・フィールズ』と『アイ・アム・ザ・ウォラス』を合成。非常にサイケな仕上がりで、歌詞もそれらしい。
そのまんまというバターンの曲も、当然、ある。
[2]は『キャント・バイ・ミー・ラブ』、[6]は、『エイト・デイズ・ア・ウィーク』、[7]は『デイ・トリッパー』、[9]が『エリナー・リグビー』、[12]は『ミッシェル』。[2]のちょっと変な曲構成、[6]の本物に負けないくらいポップなメロ、[12]のおすましポール風ボーカルのはまり具合等、聴きどころ満載。どれも何度聴いても素晴らしい。本物と同じくらい好きです。
この手のもので避けて通れない課題曲が『ペニー・レイン』。[8]がそれにあたるもので、出来の方はいかがだろうか。ラトルズの『ダブルバック・アレイ』と聴き比べてみると面白いのでは。僕個人としてはこちらの『ホイ・ポロイ』のほうが好きです。理由はくだらないから(笑)。
ギターの音とかも「なるほど」と思わせるところがある反面、[8]や[9]の管弦楽器で堂々とシンセを使っていたりして、この人の基準はやはり独自である。
最近、未発表音源とかを出し始めているようだから、このアルバムの分もぜひとも聴きたい。きっと面白いアウト・テイクが沢山あるに違いない。
ポニーキャニオンから再発されたCDを入手したところ、LP発売当時の邦題が復活していましたので、曲目に追記しました。はっきり言ってかなりやり過ぎ、かつ安易な邦題ですな。一時期出てたビクター盤では葬りさられていたのもわかる。(その後また発売がビクターに戻り、今度は邦題がついてましたが)
素直にいいなと思えるのは[1]くらいで、あとはねえ。解説してどうするのよ。題名で。
しかし、同時にLPから復活した鈴木慶一氏のライナーは最高。ちょっと救われた気分になりました。(うらわ) |