Album Review "T"
アルバム・レビュー"T"



Tiny Tim
"'God Bless Tiny Tim"
Produced by Richard Perry ('68)

1.Welcome to My Dream
(僕の夢にウェルカム)
2.Tiptoe Through the Tulips With Me
(チューリップ畑でお散歩を)
3.Livin' in the Sunlight, Lovin' in the Moonlgiht
(サンライト・ムーンライト)
4.On the Old Front Porch
5.Viper
6.Stay Down Here Where You Belong
(ステイ・ダウン)
7.Then I'd Be Satisfied With Life
(ならば人生はOK)
8.Strawberry Tea
(いちごの紅茶)
9.Other Side
10.Ever Since You Told Me That You Love Me (I'm Nut)
(愛の言葉)
11.Daddy, Daddy, What Is Heaven Like?
(パパ、天国ってどんなとこ?)
12.Coming Home Party
13.Fill Your Heart
(心みだして)
14.I Got You Babe
15.This Is All I Ask
(訊きたいのはそれだけ)

関連項目:
The Beatles "Christmas Album"

邦題『タイニー・ティムに神のご加護を』。

ビートルズがファン・クラブ用に作っていた『クリスマス・レコード』。基本的に滅茶苦茶さがコンセプトだし、出典不明な音源や意味不明な発言が多いが、その中でも「あんた誰?」度が非常に高いのがタイニー・ティムだ。

『ホワイト』が出た後の68年、かなり勝手バラバラ度の高まっていたこの年の『クリスマス・レコード』は、メンバーが各々録音した音源をディスク・ジョッキーのケニー・エヴァレットがコラージュしたもの。タイニー・ティムは途中、リンゴとの電話での変な会話で例のチリメン声を張り上げている。

さらに後半、ジョージの正式な紹介で、「今晩はスペシャル・ゲストを迎えています、タイニー・ティムです」と再登場。「ちょっと歌ってくれる?」というジョージの頼みに応じ、ウクレレをつま弾きながら「一人ぼっちのあいつ」を超裏声、超ちりめん声で歌っている。最後まで思いっきり歌いきっている。そして聴く度に思ってました。

「あんた誰?」

まあ、ビートルズ周辺には色々人物、ミュージシャンが出入りしているが、正式なアルバムではないにしろ、これほど堂々歌声を披露しているのは、『マジカル・ミステリー・ツアー』におけるボンゾ・ドッグ・バンドと、この『クリスマス・レコード』のタイニー・ティムくらいのものだろう。

正直言ってこのおっさん(タイニー・ティム)、私、長いことミュージシャンだと思っていませんでした。なんかお笑い関係の人か何かかと思っておりました。

それが急に彼に興味を持つキッカケになったのは、ニルソンを最近を熱心に聴くようになってから。ニルソンが73年に発表したスタンダード・ナンバー・カバー集『夜のシュミルソン』はご存じでしょうか? 流麗なストリングス・アレンジをバックにニルソンが渋く繊細に歌い上げる、非常に美しいアルバムです。
同傾向の作品としてリンゴの『センチメンタル・ジャーニー』があって、そこら辺がアルバム・コンセプトの元ネタだと思っていたのですが、実はそうではなく、68年発表のタイニー・ティムのこのアルバムに触発されたらしい、と最近知りました。

68年と言えば、ビートルズ『クリスマス・レコード』にも登場した年。それにプロデューサーは『リンゴ』やニルソンでお馴染みのリチャード・ペリー。これは聴かねば! で、速攻聴いて驚き! やっぱ結構いいアルバムではないか! ちょっと変だけど! ちょっとチリメン声だけど! いや、かなり変だけど! かなりチリメン声だけど!

彼はどうカテゴライズされるべきか躊躇を感じてしまう濃いキャラの人物であるが、基本的にはウクレレ抱えたミュージシャンであることは間違いない。50年代からアメリカで活動を始めており、リプリーズからこのファーストが出た時は既に36才だったそうだ(彼の正式な生年月日は諸説あるそうです)。

で、さらに驚いたことにこのアルバムは大ヒットしていたという事実。全米7位を獲得。つまり、僕からしたら「あんた誰?」なタイニー・ティムも『クリスマス・レコード』に登場した当時は時の人であり、大人気者であったのだ。「一人ぼっちのあいつ」を歌い終わった後、ジョージが彼に"Thank you, Tiny. God bless you, Tiny"と言うのだけど、これも大ヒットしたこのアルバムのタイトルを前提にした一言なのだろう。

さてアルバムの方だけど、まず『クリスマス・レコード』では単なる変な野郎としか思ってなかったタイニー・ティムが意外に歌が上手い、というか味わい深いことに驚かされる。ハイ・トーン・ボイスだけでなく、低いバリトンを聴かせてみたり、芸歴長いだけあって、かなりの歌技、歌芸、歌声を披露しまくっていて飽きさせない。
そして、プロデューサーのリチャード・ペリーと言えば、『リンゴ』を聴けば分かるが、トラディショナル・スタイルから軽いポップ/ロック的アレンジまで堅実にこなすかなりの本格派。この人が絡んだ駄作というのも全く覚えがない。

リンゴの『センチメンタル・ジャーニー』、ニルソン『夜のシュミルソン』にボンゾズのストレンジさを注入したようなこのアルバム。意外とはまる人は多いのでは。

話は逸れるが、ティムと同じく、「ミュージシャンなの?か?」という濃いキャラだったヴィヴィアン・スタンシャルにもこの手のスタンダード・ボーカル集を出してもらいたかった。きっと味わい深い仕上がりだったろうに。
残念ながらヴィヴもティムも既に故人です(それぞれ95年、96年逝去)。合唱。合掌。
(うらわ)

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タイニー・ティムに神のご加護を
"タイニー・ティムに神のご加護を"

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Todd Rundgren
"'Runt' The Ballad Of Todd Rundgren"
Produced by Todd Rundgren ('71)

All Songs Written by Todd Rundgren

1.Long Flowing Robe
2.The Ballad (Denny & Jean)
3.Bleeding
4.Wailing Wall
5.The Range War
6.Chain letter
7.A Long Time, A Long Way To Go
8.Boat On The Charles
9.Be Nice To Me
10.Hope I'm Around
11.Parole
12.Remember Me

関連項目
Badfinger "Straight Up"

Utopia "Deface The Music"

こういうビートルズに絡めた場所で紹介されるトッドのアルバムといえば、まず一番は『ディフェイス・ザ・ミュージック』だろう。じゃなければ『フェイスフル』。さもなければ代表作ということで、『サムシング/エニシング』だろうか。

にもかかわらず、トッドに関する文章初出としてこのアルバムを選んだのは、単に一番好きなアルバムだから。
これは71年のソロ名義としては2枚目のアルバムであるが、セカンド・アルバムというのは概ね当たりが多い気がする。ポップ職人と呼ばれている人でも、ファーストはちょっと硬かったりする。その点、アルバムの作り方が分かり、しかも才能が初々しいまま反映されるセカンドというのは、よい。思いっきり脱ぐ直前の写真集という感じで、「寸止め感」がたまらないのかもしれない。

トッドというとビートルズ系アーティストの最右翼みたいに言われるが、果たしてそうなのか、世間の評判に首を傾げたくなるアルバムも多い。前出の『サムシング/エニシング』にしても、ビートルズというよりかはソウル・ミュージックの影響の方が強いと思う。個人的な意見としては、ソウルの甘いメロディーと、ビートルズ系の甘いメロディーは基本的に別モンではないかとも思うので、餡子とチョコレート混ぜちゃったようで、なんとなく気持ち悪い。(しかし、ややこしいが、その気持ち悪さも嫌いではない)

ファーストとこのセカンドが特に好きなのは、まだソウルの影響の現れる前の、ビートルズ系甘さ十分のトッドが堪能できるからかもしれない。しかしまあ、もっとぶっちゃげたこと言えば、ビートルズ云々抜きにしても、このアルバムが好きだ!本当に本当に素晴らしい!

首吊りの用意をしたままピアノに向かうジャケットをみて、「暗いアルバムなんじゃないか」と心配する人もいるかもしれないけど、大丈夫。「眠いアルバムだ」と評した人もいるけど、それは少し当たってるかも。
タイトルの通り、穏やか目でシンプルな曲が多い。所々レコーディング技術を誇示しているような部分もあるが、あくまで味付け。基本は曲の良さで勝負している。とにかくどれもいいメロディー。一曲目が始まり、「あ、この一曲目いいメロディーなんだよな」と思っているうちに2曲目が始まり、「うーん、この2曲目がいいんだよね」、そして、「そういえば3曲目もいいんだよなあ」、「4曲目、しみるねえ」以下、「うー」とか「アー」とか思っているうちにアルバムが終わってしまう。しみる曲のジェットコースターという感じ。

色々と思い出の多いアルバムで、そういう物って後からまともに聴く気がしなかったりするが、このアルバムは今でもPLAYボタンを一度押したら、大抵最後まで聴いてしまします。(うらわ)

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'Runt' The Ballad Of Todd Rundgren
"'Runt' The Ballad Of Todd Rundgren"

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Tokyo Beatles
"Meet The Tokyo Beatles"
編曲:寺岡真三 ('94)
All Songs except 4 Written by John Lennon /Paul McCartney
4 by Bert Russell /Phil Medley
(全曲訳詞:漣健児)

1.I Wana Hold Your Hand
(抱きしめたい)
2.Please Please Me
3.Can't Buy Me Love
4.Twist & Shout

何回聴いても、

「…凄すぎ。」

と一言ですましたくなるのが東京ビートルズですが、何万語費やしても、どうせこの凄さは伝わらないような。

東京ビートルズは1964年3月に結成されたグループで、メンバーはジョージ岡(ボーカル、ギター)、市川次郎(ボーカル、ベース)、斉藤タカシ(ボーカル)、須藤マコト(ボーカル)の四人。っていうか、ドラムがいねえしボーカル多すぎやしないかい? という気もしますが、気のせいですか? ですね。で、一応準メンバーとして田村一郎(ドラム)、加瀬沢道雄(ギター)も参加しているそうです。

そもそも「東京ビートルズ」と名乗っていること自体無茶だと思いますが、演奏、訳詞、ボーカルも無茶だ。戦後のどさくさならともかく、東京オリンピックも行われようという、日本が国際社会の檜舞台に正式に躍り出ようというそんな時、こんなのありだったのですか? 新幹線が開通した年ですよ? もう映画もカラーになろうというその頃ですよ? いいんですか? もう一回訊きますけど、いいんですか?

っていうか、まあこのアルバムの音をなんとか紹介いたしますと…、えっと…、うーむ。(悶絶) 先生、保健室行ってもいいですか?

と、誤魔化している場合ではなくて、うーん、例えば、「なつかしのTV」とかで白黒のアニメとかあるいは実写のヒーロー物とか流れるときありますよね? そんな時、なんか和やか〜なテーマ曲が聞こえてきましたりしますが、その雰囲気のままでビートルズをカバー、みたいな。まあ演奏面では「ロック」の「ロ」の字も「ッ」の字も「ク」の字も見あたらない、です。でもやけくそに強引なそのボーカル/ハーモニー、あるいはこの企画自体、あるいは生き方そのものがある意味ロックかも。

訳詞の漣先生もかなりお困りのようで[3]では、「買いたい時にゃ/金だしゃ買える/ダイヤにミンク/何でも買える/それでも買えない/真心だけは」ですからな。あるいは[4]では「カム・オン・カム・オン・カム・オン・ベイビイ・ナウ/歌い明かすのよ/らんちき騒ぎの/ダンスパーティーだ」ですから。しかも、今一英語部分の譜割りを歌いこなせていない。っていうか、全然歌いこなせてません。

私が知っている中でもっとも馬鹿なビートルズ・カバー・アルバムはビッグ・ダディの『サージェント・ペパーズ』と本作。しかし、ビッグ・ダディーは意識的に且つかなり高度な音楽的知識を駆使して馬鹿なことをやっているが、こちらは完全に無自覚的に音楽的知識も全然なしでナチュラルに凄いことになってしまっている。

さて、そんな凄い彼らの音を私達に気軽に聴けるようにしてくれた本作は94年に出されたミニ・アルバム。再リリースに深く関わった大滝詠一氏、高田文夫氏らの詳しいライナー、当時のシングル・ジャケなどが収録されている。

ところで高田文夫は「松竹セントラルで東京ビートルズを実際に観た」と語っているが、昔は映画だけでなくライブもやっていたのですね。後にジョンが「スーパーマン」を観た映画館でもあるわけで、イギリスと日本を代表する二つのビートルズゆかりの地だったとはっ! っていうか、かなりどうでもいいゆかりですか!? どっちにしても、数年前取り壊されてしまいましたが。
(うらわ)

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"meet the 東京ビートルズ"

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