Album Review "R"#4
アルバム・レビュー"R"その4



Roy Wood
"Boulders"
Produced by Roy Wood ('73)
All Songs Written by Roy Wood
5 by Arthur Alexander

1.Songs Of Praise
2.Wake Up
3.Rock Down Low
4.Nancy Sing Me a Song
5.Dear Elaine
6.Medley:
a)All the Way over the Hill
b)Irish Loafer
7.Miss Clarke and the Computer
8 When Gran'ma Plays the Banjo
9.Rock Medley:
a)Rockin' Shoes
b)She's Too Good For Me
c)Locomotive

ロイ・ウッドについては、念入りに念入りに本一冊書けそうなくらい念入りに調べてからレビューを書こうと思ってましたが、そんなことでは一生書けないので、今日書くことにしました。全く気まぐれです。全然下調べありません(笑)。

ロック/ポップ・ミュージック界には奇人変人ぽい人が多くいますよね。典型的にはトッド・ラングレンとかアンディ・パートリッジとか。最近ではアンディ・スターマーとか。ポール・マッカートニー、ブライアン・ウィルソン、フィル・スペクターとかもそうかもしれませんが。つーか、そうなんでしょうが。

まあ、そんな中でもロイ・ウッドはホント…訳分かんないわ…(笑)。どこまで本気なのかが非常に見えにくい人ですよね。まず、彼の経歴だが、これだけ音楽的なスタイルが時期によって変わってる人も珍しいんでは。それも、意識的に変えてるいる節がある。ムーヴがそこそこ人気があるにもかかわらず、わざわざ解散させちゃって、エレクトリック・ライト・オーケストラを気合いを入れて作ったと思ったら、すぐジェフ・リンに明け渡しちゃって、ウィザードを結成。一方でこの『ボールダーズ』や『マスタード』といったソロを作ったりと全く落ち着きがない。チャート的な浮き沈みも非常に激しい人だけど、あまり本人に人気を維持しようという気概も感じられない。むしろある程度その時のスタイルが認知されると意識的にそれをやめてしまってるような気がする。あ〜たは売れたいの?売れたくないの?もし売れたくないのなら、ウィザードの一連の「超弩級ポップ・ソング」はナンだったの? それにあの化粧ってナニ?

そのあまりに破天荒かつ捉えどころなさに、「ロイ・ウッドとは何者か?」というのが僕のライフ・ワークの一つになっているのですが(笑)、当分答えは出そうにありません。もしかして、宇宙人?と思っていたのですが、このあいだ少しヒントになるような文章に出会いました。
アンディ・パートリッジが自らの「エピタフ」を書いてるもの。彼の英語は相変わらず難解で、私はほとんど分からんのですが、自分がいかに「絶滅危惧種」的ミュージシャンであるか、己をそのように導いたミュージシャン達は誰であるかを語っている。シド・バレット、レイ・デイヴィス、ビーフハート、マッカートニー、レノン、バカラックと様々な名前が挙がっていて興味深い(彼はインタビューでそこら辺を訊かれると意外と逃げてしまうことが多い)。
そして、こんなくだりがあった。「ロイ・ウッドは私に絶滅危惧種になってもらいたがっていた」。結構これにはびっくりしてしまいました。ロイ・ウッドが直接アンディ・パートリッジにそれを言ったのか、間接的なのかは分かりませんが、とにかく驚きおののきました。「ロイ・ウッドはアンディー・パートリッジにシンパシーを持っている!!?」。おなじ「絶滅危惧種」としてシンパシーを持っている?
間接的とはいえ、彼のこんな「人間的」な発言は初めて聞きました。彼はやはり人間? それも自分をポップス中毒と認めている人間なのか?

で、話はかわって左に掲げたアルバム、上のことをふまえると、かなり素直に聴けるような気もする。あまり「狂気」とか「変態」といったタームで切るのではなく、「音楽人間/ポップ大好き人間が好き勝手作ってしまったアルバム」と考えると。そうは言っても「どういう発想したらこーゆーアレンジ思いつくんだろ〜」って笑ってしまうところは多々ありますが。

もともとは69年に録音したものだが、お蔵入り。73年にようやく日の目を見ている。音楽之友社から出ていた「ロック・クラッシック」という本で、「『ラム』と並ぶワンマン・レコーディングの傑作」と紹介されていたのような気がする。『ラム』がワンマン・レコーディングと言っていいのかどうなのかは微妙なところだが、このアルバムはそう呼んで間違いなだろう。なにしろ[9]でムーヴのメンバーが参加してるのと、ジョン・カーレンダー(現在でもエンジニアとして活躍。エクストリーム等を手掛ける)が数曲キーボードを弾いているだけのようだ。あとは、作詞作曲、ボーカル、演奏(含、管弦楽器)、プロデュース、ジャケのイラストと、全部一人でやっている。
音の感触的には『ラム』を引き合いに出してしまったことは、何となく分かる。ポールがビートルズ後に初めて力を入れて作ったのが『ラム』。隅から隅まで気を使って息づかいまで聞こえてきそうなアルバムですが、この『ボールダーズ』もロイ・ウッドがムーヴとは別に、全く好きなように作ったもの。心境的にも似た状態だったではないでしょうか。

[2]での効果音の使い方、[7]でのジャズ風サウンドへの転調、各所でみられる見事な(かつ意味不明な)曲と曲のつながり方等々、アイディアの多彩さ、それを易々と実現する音楽的教養と力量には舌を巻きます。一人でやってるというのも凄いが、一人じゃなきゃ逆に出てこない音かもしれません。
[8]はニール・イニスあたりが書きそうなバンジョーを使った冗談ソング。これまたよい。そして、何より私が身がよじれてしまうのが、[1][7][9](a)で見られるのようなピッチ上げ、ピッチ下げされたボーカルの使い方。「なに考えてんだか〜」といつも思ってしまいますが、いつも受けてしまいます。(うらわ)

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Boulders
"Boulders" [FROM UK]

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The Rutles
"The Rutles"

Produced by Neil Innes

above: CD
below: LP

All Songs Wtitten by Neil Innes ('78)

<< CD >>
1.Goose-Step Mama
2.Number One
3.Baby Let Me Be
4.Hold My Hand
5.Blue Suede Schubert
6.I Must Be In Love
7.With A Girl Like You
8.Between Us
9.Living In Hope
10.Ouch !
11.It's Looking Good
12.Doubleback Alley
13.Good Times Roll
14.Neverthless
15.Love Life
16.Piggy In The Middle
17.Another Day
18.Cheese And Onions
19.Get Up And Go
20.Let's Be In Natural

<< LP >>
1.Hold My Hand
2.Number One
3.With A Girl Like You
4.I Must In Love
5.Ouch !
6.Living In Hope
7.Love Life
8.Neverthless

1.Good Tme To Roll
2.Doubleback Alley
3.Cheese And Onions
4.Another Day
5.Piggy In Thr Middle
6.Let's Be Natural

関連項目;
The Bonzo Dog Band "Gorilla"

The Four Bucketeers "Tiswas Presents..."
Various Artists "Rutles Highway Revisited"

僕がはじめてラトルズの存在を知ったのは、多分日本テレビでやっていた、「日本テレビ大学」という番組でだ。
これは、いとうせいこう、関口和之、えのきどいちろう、川勝正幸らがやっていた、非常にとりとめのない深夜の情報番組だったが、とっても楽しかった。
その番組内でなぜかビートルズのコーナーというのがあって、そこでラトルズが取り上げられていたのだ。TV映画『オール・ニード・イズ・キャッシュ』の『アウチ!』や『ゲット・アップ・アンド・ゴー』のシーンを流していたと思う。映像を流した後、上の四人が、

えのきど:「川勝さんは四人の中で誰が一番好きですか?」
川勝:「僕はバリーが一番好きです。彼の人柄が」
いとう:「実は僕、今日はすごい物持ってきたんです」(白い歯ブラシを取り出す)「実はこれがバリーの使っていた歯ブラシなんです」
全員:「ほー!」
いとう「バリー!!」(感極まって歯ブラシにむしゃぼりつく)

というような会話をしていた。それを見て僕は「こんな大人になりたい」と思ったのでした。

でも、その当時はラトルズのレコードをわざわざ聴こうという発想はなかった。映像をチラッと見てげらげら笑うという程度。
時はだいぶ流れて、左のアルバムが日本盤CDで出たのでとりあえず買った。改めて聴いてもすばらしい出来でした、それは。
しかし、このアルバムに本当に馴染むようになったのは、ボンゾ・ドッグ・バンドを聴くようになって、ニール・イニスについて知るようになってからだ。これは結構、最近。今では「ビートルズのパロディ・バンド」というより、「ニール・イニスがやっていたビートルズのパロディ」という認識の方が強い。

高校生の時の僕のように、ラトルズは知っていても、どういう人がやっていたのか知らない人は意外と多いんではないでしょうか。メンバーは以下の通り。
ニール・イニス(ロン・ナスティー役/ギター、キーボード)
エリック・アイドル(ダーク・マックィックリー役/演奏はしていない)
リッキー・ファター(スティッグ・オハラ役/ベース、シタール等)
ジョン・ハルシー(バリー・ウォム役/ドラム)
エリック・アイドルは「お笑い界のビートルズ」(関根勤談)モンティー・パイソン出身のコメディアンなので、ビジュアルのみの出演。実際の彼のパートは、オリー・ハルセール(ギター、キーボード)が担当している。

映像面の仕掛け人は当然エリック・アイドルで、彼はジョージと大変親しい事もあって、TV映画を作るとき膨大なビートルズの映像を提供してもらったそうだ。その中には当時未公開だったものも含まれたいて、パロディーが先に世に出てしまうという逆転現象もあったそうだ。(これはTさんから聞いた情報。でも具体的にはどのシーンなのでしょうか?)

一方、音楽面のリーダーはニール・イニスで、全曲彼の作詞作曲。彼は「裏ビートルズ」、ボンゾ・ドッグ・バンド出身。元々が非常にポップな曲を書く、すごいソング・ライターな訳です。書く曲はどちらかというとポール寄りだと思うのですが、声はジョンに似ている。[18]などは「ジョンの未発表曲」と偽って収録していたビートルズのブートレグも存在していた。
余談だが、(全部余談か)映画に出てこない[5]は、イニスがやっていたTV番組、「イニス・ブック・オブ・レコーズ」で取り上げられています。そこではシューベルトの格好をしたイニスがオーケストラ・アレンジで歌うという趣向。これはエレクトリック・ライト・オーケストラの『ロール・オーバー・ザ・ベートーベン』をパロったものと思われます。しかしELOの方も元はと言えばビートルズを意識してやったものな訳で、ビートルズを起点として、なんだか変な無限円環が生じている。

しかしまあ、どの曲も素晴らしい。敢えて一番のフェイバリットを書けば[13]か。『ルーシー・イン・ザ・ダイアモンド』で始まって、後期のポールっぽく終わるという、なんだかつじつまの合わない構成だが、純粋に曲として好き。
ちなみに、MSIから発売されている日本盤CDには『ザ・ラトルズ(1962〜1970)』という邦題が付いています。(うらわ)

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The Rutles [FROM US]
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The Rutles
"Sweet Rutle Tracks"
All Songs Wtitten by Neil Innes

1.We've Arrested
2.Now She's Left You
3.No.1
4.Love Life
5.Goose Step Mama
6.It's Lookin' Good
7.I Must Be In Love
8.Baby Let Me Be
9.Good Time To Roll
10.Let Be Natural
11.Get Up And Go
12.Blue Suede Shu Bert
13.Between Us
14.Piggy In the Middle
15.Livin' In Hope
16.Double Back
Alley
17.Plenty Of Time

ラトルズのブートレグ。タイトルを見てにやりとしてる人もいると思います。そう、ビートルズの有名なブート、"Sweet Apple Tracks"のもじりですな。海賊盤業者も巻き込んで、ラトルズ伝説は進行中です。

僕は『このページについて』でも書きましたが、本来海賊盤を熱心に聴くほうではない。
西新宿の店でこのCDを見掛けた時も手に取りはしたけど、買うのにためらいがありました。しかし、高田馬場のレコード屋に行った時に、たまたま店内で流しているのを聴いてぶっ飛びました。
この人たちは海賊盤までビートルズっぽい! 当然、スタパ斉藤風に即買いました。

良質なビートルズのブートレグや、アンソロジーの1や2で聴ける、楽しみながら演奏したり曲を練っていくビートルズの雰囲気をそのまま再現している。
もちろん、発表するつもりのないデモ録音なので、本人達も真似してるつもりもないのだろうけど、乗り移ってたとしか思えない。

[2]〜[17]はファーストから。後者。本当に楽しそう。[1]は後に『アーキオロジー』に収録。[17]はラトルズのバージョンは結局発表されていない(これはもともとニール・イニスがグリムスの『スリーパーズ』で発表していた曲のリメイク)。やはりオリー・ハルセール存命中のセッションは無茶苦茶楽しそう。
ラフな一発取りデモ風の[3][5][6][8]なんか生々しくてメチャクソかっこいい。[11]なんかはどんなメロディーにしようか、まだ手探り状態という感じで面白い。

ニール・イニスはファーストの曲を非常に短期間に書き上げたそうですが、このCDの勢いからすると録音も非常にスムーズに行ったんではないでしょうか。数日間、彼らは本当にビートルズだったんでしょう。

それにしても、聴いてる時になんとなく浮かぶ顔は、楽しそうに演奏してるジョンであるし、ポールであるんだよなあ。(うらわ)

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