| 僕がはじめてラトルズの存在を知ったのは、多分日本テレビでやっていた、「日本テレビ大学」という番組でだ。
これは、いとうせいこう、関口和之、えのきどいちろう、川勝正幸らがやっていた、非常にとりとめのない深夜の情報番組だったが、とっても楽しかった。
その番組内でなぜかビートルズのコーナーというのがあって、そこでラトルズが取り上げられていたのだ。TV映画『オール・ニード・イズ・キャッシュ』の『アウチ!』や『ゲット・アップ・アンド・ゴー』のシーンを流していたと思う。映像を流した後、上の四人が、
えのきど:「川勝さんは四人の中で誰が一番好きですか?」
川勝:「僕はバリーが一番好きです。彼の人柄が」
いとう:「実は僕、今日はすごい物持ってきたんです」(白い歯ブラシを取り出す)「実はこれがバリーの使っていた歯ブラシなんです」
全員:「ほー!」
いとう「バリー!!」(感極まって歯ブラシにむしゃぼりつく)
というような会話をしていた。それを見て僕は「こんな大人になりたい」と思ったのでした。
でも、その当時はラトルズのレコードをわざわざ聴こうという発想はなかった。映像をチラッと見てげらげら笑うという程度。
時はだいぶ流れて、左のアルバムが日本盤CDで出たのでとりあえず買った。改めて聴いてもすばらしい出来でした、それは。
しかし、このアルバムに本当に馴染むようになったのは、ボンゾ・ドッグ・バンドを聴くようになって、ニール・イニスについて知るようになってからだ。これは結構、最近。今では「ビートルズのパロディ・バンド」というより、「ニール・イニスがやっていたビートルズのパロディ」という認識の方が強い。
高校生の時の僕のように、ラトルズは知っていても、どういう人がやっていたのか知らない人は意外と多いんではないでしょうか。メンバーは以下の通り。
ニール・イニス(ロン・ナスティー役/ギター、キーボード)
エリック・アイドル(ダーク・マックィックリー役/演奏はしていない)
リッキー・ファター(スティッグ・オハラ役/ベース、シタール等)
ジョン・ハルシー(バリー・ウォム役/ドラム)
エリック・アイドルは「お笑い界のビートルズ」(関根勤談)モンティー・パイソン出身のコメディアンなので、ビジュアルのみの出演。実際の彼のパートは、オリー・ハルセール(ギター、キーボード)が担当している。
映像面の仕掛け人は当然エリック・アイドルで、彼はジョージと大変親しい事もあって、TV映画を作るとき膨大なビートルズの映像を提供してもらったそうだ。その中には当時未公開だったものも含まれたいて、パロディーが先に世に出てしまうという逆転現象もあったそうだ。(これはTさんから聞いた情報。でも具体的にはどのシーンなのでしょうか?)
一方、音楽面のリーダーはニール・イニスで、全曲彼の作詞作曲。彼は「裏ビートルズ」、ボンゾ・ドッグ・バンド出身。元々が非常にポップな曲を書く、すごいソング・ライターな訳です。書く曲はどちらかというとポール寄りだと思うのですが、声はジョンに似ている。[18]などは「ジョンの未発表曲」と偽って収録していたビートルズのブートレグも存在していた。
余談だが、(全部余談か)映画に出てこない[5]は、イニスがやっていたTV番組、「イニス・ブック・オブ・レコーズ」で取り上げられています。そこではシューベルトの格好をしたイニスがオーケストラ・アレンジで歌うという趣向。これはエレクトリック・ライト・オーケストラの『ロール・オーバー・ザ・ベートーベン』をパロったものと思われます。しかしELOの方も元はと言えばビートルズを意識してやったものな訳で、ビートルズを起点として、なんだか変な無限円環が生じている。
しかしまあ、どの曲も素晴らしい。敢えて一番のフェイバリットを書けば[13]か。『ルーシー・イン・ザ・ダイアモンド』で始まって、後期のポールっぽく終わるという、なんだかつじつまの合わない構成だが、純粋に曲として好き。
ちなみに、MSIから発売されている日本盤CDには『ザ・ラトルズ(1962〜1970)』という邦題が付いています。(うらわ) |