Album Review "K"
アルバム・レビュー"K"



Klaatu
"Klaatu"
Produced by Klattu ('76)
1 Written by John Woloschuk
/Terry Draper
2 by John Woloschuk/Dino Tome
3,5&7(Little Neutrino) by Dee Long
4 by John Woloschuk/Dino Tome
6&7(Sir Bodsworth Rugglesby III)
by John Woloschuk

1.Calling Occupants
Of Interplanetary Craft
2.California Jam
3.Anus Of Uranus
4.Sub-Rosa Subway
5.True Life Hero
6.Doctor Marvello
7.Sir Bodworth Rugglesby III
/Little Neutrino

「ビートルズの覆面バンドではないか」噂のあったクラトゥー。今聴いてみると「何でやねん」という気もしなくもない。詳しくはリンク集に掲載したオフィシャル・ページに事細かに書いてあるので、そちらを参照してもらいたいが、噂の内容と原因は大体以下の通りらしい。

<主な原因>
・ まず、曲調、アレンジがビートルズっぽい。
・ [1]と[4]のボーカルがポールに似ている。
・ アルバムには、メンバーの名前、写真等が一切載せられてなかった。その他のクレジットも伏せられていた。
・ キャピタルから発売されていた。
・ 7の歌詞に、「ポール死亡説」と符合するような内容があった。等々。

<主な噂の内容>
・ 『リボルバー』のあと、ビートルズはニュー・アルバムを録音したが、テープが紛失してしまった。その頃ポールが交通事故で死亡。まあ、有名なポール死亡説という奴ですね。後の経緯はアホらしいので省略。
・ ところが75年になって失われたテープが発見され、ポールへの追悼という意味でリリースされた。それがこの作品。

全くアホらしくて、話にならんが、以上の噂がラジオで曲が流されたり、誤った新聞記事が出たことををきっかけに流れたらしい。そして、更なる真相はレコード会社が宣伝のために噂を利用したらしいということ。メンバーからしたら迷惑な話だったんではないか。

ところで、「失われたテープ」というモチーフはビートルズ・ストーリーに繰り返し出てくるね。『ウォッチング・レインボウ』とかね。ポール自身そういうネタで、『ヤァ!ブロード・ストリート』を撮ってるし。何か原型になる話があったのではと、ロマンを感じなくもない。まあ、ポール自身がそういう噂話を聞いてヒントにした可能性もあるけど。

さて、クラトゥーのメンバーにはちゃんと名前がある。ジョン・ウォロシャク、テリー・ドレイパー、デビッド・ロングの3名。デビット・ロングは後にジョージ・マーティンのAIRスタジオで働いていた事もあるそうです。確かにルックスは弱いので、レコード会社も写真載せたくなかったのかもしれない。

[1]は噂通りにビートルズっぽいが、そもそも66年とか67年の音ではないよね。ちゃんとこのアルバムがリリースされた76年の音だ。カーペンターズもカバーした名曲。
[4]はエミット・ローズやパイロットを思わせる正統ポール的なポップな曲。なかなかよいですね。
[2]とか[5]とかは後のアルバムで顕著になるパワー・ポップ的展開。[7]はボードビル調の曲で、確かに中期ビートルズっぽい。しかしこれでビートルズと言われるんなら、ムーヴもビートルズだね。

ところで、このジャケット(細かいことを言えば、これは下の"SPECIAL DOUBLE PLAY"の印刷から分かるように、セカンドとの2in1CD仕様のジャケです)、ティアーズ・フォー・フィアーズの『シード・オブ・ラブ』は、完全にこれを意識してると思うのですが。(うらわ)

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Knack
"Get The Knack"
Produced by Mike Chapman ('79)
All Songs except 3,5,8&11 Written by Berton Aberre /Doug Fieger
3,5&11 by Doug Fieger
8 by Montgomery/Petty

1.Let Me Out
2.Your Number of Your Name
3.Oh Tara
4.(She's So) Selfish
5.Maybe Tonight
6.Good Girls Don't
7.My Sharona
8.Heartbeat
9.Siamese Twins
10.Lucinda
11.That's What the Little Girls Do
12.Frustrated

残念ながら、ナックはリアル・タイムでは覚えていません。しかし、「稀代の一発屋バンド」として、当然その伝説は聞き及んでいます。

「第2のビートルズ」という称号を頂いて最後まで頑張り抜いたバンドというのはいないわけで、そういう冠がついた時点で「やばい」と覚悟し、転職先を探したほうがいいみたい。

ナックはパンク、ニューウェイブの狭間から突如現れた「第2のビートルズ」。音楽性もポップ一辺倒だし、ジャケといい、"Meet The Beatles"を模したタイトルといい、モノトーンを基調にした揃いの衣装といい、レコード会社のプッシュの仕方も完全に意識的なものだ。
ナックのメンバーをご存じだろうか? 僕は知らなかった。デビュー当時のメンバーはDoug Fieger(ボーカル/ギター)、Berton Averre(リード・ギター)、Prescott Niles(ベース)、Bruce Gary(ドラムス)とのこと。

久々に気まぐれで聴いたナック、「あら?こんなに激しかったっけ?」って感じで、[1]は初期チープ・トリック辺りを即連想する。まあ、ここら辺で、もう日本人ファンのハートはすぐゲットという感じだったのだろうか。メドレー形式の[2]で、大分甘めのメロディーとなるが、ドラムは結構ドカドカいってるし、演奏は適度にハードで、何だかいい匙加減の「パワー・ポップ」ぶりを発揮している。個人的には90年代のパワー・ポップ・バンドよりずっといい感じ。
実際、かなりアレンジのセンスとかいいんだよね。メロディー作りもうまいというか、メロディーの上にうまく言葉を転がすのに長けている。キャッチーなフックも超簡単にひねり出している印象だ。ハモリもそれ程高度過ぎないとこが、逆にシンプルでいい効果を上げているような。
逆回転SEやギターのボリューム・ペダルを上手く使ったバラード[5]や、息抜き風にバディー・ホリーのカバー[8]を挟んだりして、硬軟適度におりまぜて飽きさせない。
これを聴かされて、「う、こいつら本当に才能あるかも」「う、こいつら本当に第2のビートルズなのかも」と思ってしまった人の気持ちはよく分かる。そうそう簡単に潰れなそうな、かなり強力なポップなオーラを放射しまくっている。

そして、なんといっても[7]。うーん、凄い。キャッチーだ。しかし(上げといて下げるのは心が痛むが)、この曲にこのバンドの「不安要素」がなんか既に垣間見えているような(笑)。というのは、この長〜いギター・ソロは何? しかも、かなりセンス無いこのギターは一体? 更に、拷問のように長いギター・ソロの後、例の「マ〜イ・マ〜イ・マ〜イ」というフックを聴かせてくれないというこの不親切さはナニユエ?
このいびつな構造に「一発屋」の香りを嗅ぎ取ってしまうのは思いこみが過ぎるだろうか。
あと、リフ中心の曲作りとかも、考えてみると長続きのしないやばい要素だよね。

って、なんかケチつけてしまったが、それも重箱の隅な話なわけで、このアルバムが良いか悪いのかといえば、間違いなく「良い」わけだし、ここまでてらい無く強力にポップなアルバムってそうそうないと思います。本当に。

ところで、彼らが再結成して頑張ってるって知ってました?

(うらわ)

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