Album Review "J"#2
アルバム・レビュー"J"その2



Jellyfish
"New Mistake"
Produced by Albhy Galuten, Jack Joseph Puig, Andy Sturmer & Roger Manning ('93)
All Song except 3&10 Written by Andy Sturmer/Roger Munning
3 by Andy Sturmer
10 by Andy Sturmer/Sarah Alice Wirt

1.New Mistake
2.All Is Forgiven
(優しく許して)
3.Russian Hill
4.Sebrina, Paste and Plato
(セブリナとペーストとプラトンと)
5.Man I Used to Be
6.Bedspring Kiss
7.Watchin' the Rain
(僕は雨が降るのを見ている)
8.Family Tree
9.Worthless Heart
(冷たい仕打ち)
10.Ignorance Is Bliss
(知らぬが仏)

関連項目:
Beatnik Beatch "Beatnik Beatch"

シングル「ニュー・ミステイク」にデモ・トラックを加えた日本独自編集のアルバム。『ニュー・ミステイク&デモ・トラックス』という名でリリースされた。[2]〜[4]が『こぼれたミルクに泣かないで』、[5][6]は『ベリーバトン』収録曲のデモ。[7]〜[10]はデモとは言え、全くの未発表曲。この4曲を聴くためだけでも買う価値があります。

さて、ジェリーフィッシュの話だが、何からしようか。

前にも紹介したが、All Music Guide(以下AMG)というデータ・ベース。無料で使え情報量もかなりのもので、このページでレビューを書くときなどもちょくちょく利用させてもらってる(もっとも、このページでは「情報」はたいして載せてないので、あまり必要ないのですが…。はは)。
AMGの面白いところはアーティスト情報だけでなく、「類似アーティスト」「影響を受けたアーティスト」「類似アルバム」なども紹介してくれるところ。全く知らないアーティストの名前が並んでいたりして、色々発見がある。
ただ、同時に「なんでこいつが類似なの…???」と、頭にハテナ三つという時もありますが。さっきジェリーフィッシュの項を見てみたら、「類似アーティスト」を以下の通り紹介していた。

Enuff Z'nuff, Matthew Sweet, Candy Butchers, Ringo Starr, The Figgs, The Greenberry Woods, The Rembrandts, Sloan, Ice Cream Hands, The Knack, The Posies, The Smithereens, Dwight Twilley, The Cavedogs, Hoodoo Gurus

「影響を受けたアーティスト」は以下の通り。

Badfinger, Big Star, Cheap Trick, The Move, Queen, The Beach Boys, The Beatles, Paul McCartney, Squeeze, The Raspberries

ざっと見ても、「類似」「影響」ともでたらめではないことが分かる。それもそのはず、これらはWEBを見ている人達が送った情報を反映させているのだ。全くよくできた仕組みだ。その積み上げがこの結果。WEBだから世界中の人が情報を送っているのだろうとは思うが、やはりジェリーフィッシュはアメリカのバンドだし、AMGもアメリカのページなわけで、恐らくはアメリカ人の方の「ジェリーフィッシュ観」が色濃く反映されているのだろうとは思う(まあ、熱心な日本人のファンの方の情報も折り込み済みだとは思うが)。

リンゴが「類似」に含まれているのは、アンディーとロジャーがアルバム『タイム・テイクス・タイム』に参加したせいだろう。バッドフィンガー、ムーヴ、ポール・マッカートニーはそれぞれライヴでの持ち歌であり、妥当。直接カバーはしてないが、クイーン、ビートルズというのも大きな影響を受けているのは間違いない。

ただ、「うーむ」と思うのが、マシュー・スィート、ポウジーズ、ビッグ・スターあたりの名前である。これっていわゆる「パワー・ポップ」と一時期カテゴライズされた一派であって、「うーむ」である。そういう認識だったのか…。なんとなく日本人の方が彼らの本質を分かっていたような気がしなくもない(弱気)。

ジェリーフィッシュは本質的に「時代の音」とか「ストリーム」とは無縁な存在だったと思うのです(本人達にとってそれがいいことかどうかはともかく)。たとえば[1]は弩ポップな曲ですが、これが93年という時代の刻印があったかというと、別にないように思う。確かに「過去のポップ資産」を大量に動員した曲だとは思いますが、そういう意味でなら、93年ではなく2000年でもいいと思うし、2020年に書かれたとしても不思議ではない。[2]なんか確かにハッピーヴァレー〜グランジ後の音だと思うけど、これも「同時代」としてその音を鳴らしてるのではなくて、単なる一バーツとして取り入れてるような気がする。

彼らは一種、ポップの鵺みたいなところがあって、「お、これいいな」と思うものを本物以上の品質で再現する。まあ、ある意味それだけである。ただ、その鵺ぶりがそれはそれはとんでもなかったということ。ホント、「不可能はない」って思わせる凄みがあったよな〜。次はどんなアイディアのアルバムか想像しただけでどきどきしたものだ(出なかったけど)。

さて、アルバム発表曲のデモ[2]〜[6]、既にデモの段階でほとんど曲は固まっているのが分かる。しかし改めて「すごいな〜」と思うのは、どれもよくできたデモなのだけど、正規バージョンの方が数段階洗練されているということ。レコーディングは無茶苦茶時間を掛けたそうだけど、相当しつこいバージョン・アップを重ねたのでしょうね。プロデューサーのアンディー・ガルトン(と読むのでしょうか)の貢献も大きいのかもしれない。

未発表曲[7]〜[11]はホント「こんなもんお蔵入りさせとくなよ〜。まだ他にも隠してんじゃない〜?」もんだ。
[7]はポリス風の淡々とした曲で彼らの中では異色だ。淡々としたメロディー、淡々としたアレンジ、コーラス、なのに飽きない。彼らの音の謎が深まる一曲。
[8]はロケンロール。ここら辺の曲のせいで「パワー・ポップ」のくくりが生まれたのかもしれないが、これは単なるフリーなんだって(笑)。「フリーっぽい曲作ったら、フリーよりポップになっちゃった。でもフリーよりいいかも」みたいな。本当に絶妙なアレンジ&掛け合いコーラスで私のフェイバリットの一つ。
[9]は小品という感じだが、こういう小品にも膨大な時間を掛けてたりするんだろうなあ。繊細な繊細な美しさ。
[10]は隠し球というか、これって本当にデモなのか?
「スーバー・マリオ」にインスパイアされて作ったというこの曲、私思うに、明らかに「アニメ」のサントラとして書かれていると思うのだが。もちろんこの世に存在しないアニメの(笑)。「ディズニーのサントラみたいな曲書きてえなあ」って作ったんではないでしょうか。とんでもないクオリティーで仕上げてます。
実は本人達も「ディズニーのサントラの仕事ならただでもやっちゃう!」みたいことをインタビューで言っていたし。(余談だが、アンディー・パートリッジのところには本当にディズニーから仕事が来たそうだが、あまりのギャラの安さに断ったとのこと)
同種の音として思い浮かぶのが、実際に「ルパート」の絵を付けた某ポール・マッカートニーさんの某「ウィ・オール・スタンド・トゥゲザー」だが、この仕事に関していえば、スターマー氏の仕事を参考にもう一度がんばっていただくしかないという感じ(笑)。(うらわ)



(付記)この文章を書いた大分後になって知った事実ですが、[7][9]はアンディーとロジャーが参加していたバンド=ビートニク・ビーチで発表されていた曲のセルフ・カバーです。どちらもリンゴ・スター『タイム・テイクス・タイム』用のデモとして録られたものだそうです。
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New Mistake
"New Mistake"

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Joey Molland
"After The Pearl"
Produced by Joey Molland ('83)
All Songs written by Joey Molland

1.Here Comes Heartache
2.Too Late to Cry
3.Moolah Rey
4.In My Heart
5.All Your Lovin

6.Life Song
7.What Happened
8.Mean Jemima
9.Dreams of Thunder

関連項目:
Badfinger "Magic Christian Music"

元バッドフィンガーのジョーイ・モーランドが83年(直接は関係ないけど、やはり元メンバーのトム・エヴァンスがお亡くなりになった年ですね)に発表したソロ一作目。バッドフィンガーの関連レコードの中では長くCD化が期待されていながら未だ果たされていない作品です。

このページの趣旨はビートルズの関連・周辺のアルバムを紹介しまくるということになっているが、あんまり、というか全然網羅的でない。というのは、基本的にたかが個人ページなので、「関連アルバム」でも僕が聴いたことがなかったり、音楽的にいまいち好きでなかったりした場合、載せません。

ということは、このアルバムを載せるべきかどうかは微妙か〜!? おれはこのアルバムを好きと言っていいのかな〜?

このアルバム、未CD化故に美品ともなると結構な値段がしたりする。いかすジャケを中古レコード屋で手にする度に、溜息のでる気分だった(ホントにでていたかも)。
ところが!ちこっとジャケに傷があるものの、私的にはこの程度は全然OK!値段もOK!という品をある日発見。大興奮して聴いてみたが…、音的には「ふーん」という感じ。でもジャケはいかすのでその後も見えるとこに飾って置いたけど。

で、引っ越しをして、手元にアナログ・プレイヤーもLPもない暮らしをしていたのだが、実家に寄ったおり、自分の部屋で久々に目撃したそのジャケのかっこよさにまた感動、聴けもしないのに思わず持ち帰り、我が部屋唯一のインテリアとして飾って置いた。
この度アナログ・プレイヤーをやっと購入し、久々に聴いてみたが…、やっぱり「ふーん」という感じ。別に悪いとも思わないんだけど、引っかかる曲が一曲もない。僕はバッドフィンガー時代のジョーイの大ファンではあるのだけど、このアルバムでは彼の「荒っぽさ」も「ポップさ」もなんかあまり発揮されていない感じ。希に見せた「繊細さ」に至っては全然影も形もない。「普通に」荒っぽくてポップではあるんだけど。別にジョーイがわざわざ作らなくても、83年にはこういうアルバムがそこら中に溢れかえっていたんじゃない?という感じ。とにかく普通のロック・アルバムなのです。

だが !! しかし !! さっきから繰り返し述べているように、このアルバムには唯一無比の強力な長所が! それはジャケのかっこよさ! 横顔のジョーイはこの上なくキュート! よく見ると普通に撮ったどうってことない室内写真なのだが、ジャケ内でのジョーイの位置、文字位置、左上の丸い暖炉の飾り(?)、黄色の三角ワンポイントなどが、なぜか僕には強烈にアピール。(ただしよく見ると、キュートさとはほど遠い指毛の濃さが笑える。あと、ジャケ裏のジョーイはただのおっさんっぽいです。これが真の姿か)

上のちっちゃい写真ではそのかっこ良さがよく分からないという人は、ぜひ実物に触れて確かめてもらいたい。それでもわからん!という場合には…、すいませんでした。

(うらわ)

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John Barry
"The Knack... And How To Get It"
Music Produced by John Barry
All Songs Written by John Barry

1.The Knack (Main Theme)
2.A Certain Success
3.Here Comes Nancy Now !
4.Photo Strip
5.Three On A Bed
6.Blue And Out
7.Certainly
8.The Knack (Vocal)
9.And How To Get It
10.Mr.Tight Trousers
11.Something's Up !
12.Doors & Bikes And Things
13.Ecstasy !
14.A Man Can Develop...
15.End Tittle-The Knack

関連項目
"The Best Of Jame Bond..."

リチャード・レスターの64年監督作品、『ナック』のサントラ盤。『ヤァ・ヤァ・ヤァ』と『ヘルプ』の間に撮った作品である。

『ナック』は90年代になってから日本でも公開された。東京では多分六本木のシネ・ヴィヴァンのレイト・ショーだったと思う。「ぴあ」にのっていたわりと有名な写真(マイケル・クロフォードが壁と壁の間に体を浮かせて煙草を吸っているもの)が気に入って観に行った。
当時は単館系の映画もよく観ていたのだな。今はハリウッド・ムービーばっかりだが、あの頃は面白そうな映画があればすぐ観に行っていた。

ストーリー的にはとりとめのない、どうということのない映画だが、なにしろ映像が良い。モノクロならではのベスト・ショットが連続している。時代的にも、いわゆるフラワーとかヒッピーとかが入ってくる前のイギリスを写し取っていて、面白い。67年にはカラーが似合っている様に、64年にはやはり白黒が似合っている。

リチャード・レスターのユーモアというのはなんだか理不尽で、僕なんかは本当のところは全然分かってないのだろうが、雰囲気物で笑いまくった。このCDのライナーを読んで、彼がテレビ"Goons"を手がけていたのを知った。なる程である。『グーン・ショー』といえばビートルズやモンティ・パイソンが影響を受けたお笑いラジオ番組である。そのテレビ版を手がけた人となれば、四人の映画を撮っても違和感が無いし、ユーモアのセンスがアメリカ人とは思えないひねくれ方をしている理由も分かる。

さて、はじめてみた当時、あんまり気に入ったので(なにしろ2回観に行った)、「リチャード・レスターは凄い!他の映画も見たい!」と言っていたら、映画に詳しい先輩に「『スーパーマン』の2とか3だよ」と教えられちょっとがっくり来た。ジョンが出ている『僕の戦争』は後にビデオで見て、部分的には面白かったが、一番の感想は「長すぎ」。長い。長過ぎだ。

映画も音楽も好きだが、サントラなんてものは買ったことが無かった。多分これが最初の一枚。ジャケは映画のイメージとはちょっと違う気もするけど、なかなか良い。多分当時の映画のポスターかなんかから取ってきたものだろう。当時としてはかなり「セクシャル」な映画だったんでしょうな。今観ると、由美かおるの『同棲時代』程度のセクシャルさだが。

音楽を担当しているジョン・バリーは、『007サンダーボール作戦』とかを手がけている人だそうだ。途中劇中の台詞をはさみながらオルガンとオーケストラを使った流麗なサウンドが展開する。ボーカル曲は[8]のみ。なんかNHK「ラジオ深夜便」を聞いているみたいでちょっと心地よいような、ちょっと眠いような雰囲気である。(うらわ)


追記:CDにはQuick TimeかMPEGで見れる予告編のおまけがついています。
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