| このページを作るに当たってまず頭にあったバンドは、ボンゾ・ドッグ・バンド。そしてバッドフィンガー。もう一つはジェリーフィッシュ。
しかし、好きな女の子にはなかなか話し掛けられないように、バッドフィンガーを除く二つのレビューは遅々として進まない。特にジェリーフィッシュは作品数も少ないんだし、先に済まそうと思えばすぐなんだけど、なんかもったいなくて今日まで来た。
このアルバムを始めて聴いた時の興奮は未だに忘れられない。それはまさに至福だった。
邦題は『こぼれたミルクに泣かないで』。発売当時、市川哲史がロッキンオン誌上で年の半ばに「今年度のベスト・アルバム決定」というような事を書いていて、あれっと思った。前のアルバムは聴いていて、いいとは思っていたが、「ポップな物好き」の市川氏がそこまでいいと持ち上げるとは意外だった。近くのレンタルCDにすぐ入荷したのでさっそく借りた。
僕は家でじっくり音楽を聴くより、移動中にウォークマンで聴くほうが好きな人間なので、なんかCDを手に入れればまずカセットに録音する。しかしこの作業がジレンマで、録音するには何曲かの録音レベルを調べなくてはいけない。何曲かちょこちょこっと聴くので「はじめて聴く驚き」みたいなものは失われてしまう。かといって座ってステレオで聴くのも面倒くさいので録音したい...。あああ。
しかし、このアルバムに関して言えばそのジレンマを感じずに済んだ。何故なら1曲目をスタートさせた時から、録音の事を忘れて最後まで聴いてしまったから。"Bellybutton"
1曲目から非常に非常に美しいコーラスで始まる。クイーンへのオマージュといったところか。ほとんど曲間なく続く2曲目は一転してギター・ナンバー。3曲目は中期ビートルズにディズニー・サウンドを注入したようなプリティーな曲。この3曲を先の市川氏は「『ヴィーナス・アンド・マース』から『ロック・ショウ』、『ジェット』への連なりのよう」といった内容のことを書いていたと思う。
しかし大事な点は、様々なバンドへのオマージュも、全てそれらのバンドのクオリティーを越えてるということだ。
所詮美というものは相対的なものだから、アレンジ一つとっても選択肢は無限にあるだろうし、その中のどれを選ぶか迷いも生じるだろう。ある時は正しいものを選択できるだろうし、間違う事もあるかもしれない。
しかし、少なくともこのアルバムには作り手のそういった逡巡や苦悩は一切感じられない。全ての音が確信に満ちているし、全ての音があるべき場所に当然にように置かれている。(少なくとも僕にはそう聞こえる)
例えば、様々な音が重層的に配置された[10]なんか(これもクイーンを意識したタイトルだろうか)そのバランス感覚は、何度聴いても舌を巻く。
[7]なんかは、どうしてこのメロディーを誰も見つけられなかったんだろう?というような、シンプルで素晴らしいメロディーをいとも簡単に歌う。
あと、ファーストと全然演奏力が違うと思うのは僕だけでしょうか。ティム・スミスにベースが交代して、これも原因の一つかな。(ティム自身は「ただ、こう弾けといわれた通りにやっただけ」と語っているけど)
アンディーのボーカルもすごくそつなく、空回りしている部分がなくなった。
曲良し、アレンジ良し、ボーカル良し、コーラスも良し、演奏良し、ルックスもまあまあ良し。足りなかったのは友情だけか? トッド・ラングレンもアンディー・パートリッジも実現できなかった究極のアルバムを出して、バンドはあっさり解散してしまったのだった。
なんか想像通りいい文章書けなかったなあ。(うらわ) |