Album Review "G" #2
アルバム・レビュー"G"その2



George Harrison
"Dark Horse"
Produced by George Harrison ('74)
All Songs except 4&8 Written by George Harrison
4 by Bryant/Bryant
8 by George Harrison/Ron Wood

1.Hari's on Tour (Express)
2.Simply Shady
3.So Sad
4.Bye Bye Love
5.Maya Love
6.Ding Dong, Ding Dong
7.Dark Horse
8.Far East Man
9.It Is "He" (Jai Sri Krishna)

"Living In The Material World"の項に続き、『Super Beatle 90's Issue』を肴にした「博士堂」でのジョージ与太話はまだまだ続く。
博士「順番からいうと『ダーク・ホース』だね」
なっちゃん「あれってかなり評判良くないアルバムよね?私聴いたことないんだけど」


[1]の曲名から分かるように、目前に控えた全米ツアーを睨んで74年に発表されたアルバム。前作同様、ジャケットが気持ち悪い。小学校時代のジョージのクラス写真が巨大な蓮の上に乗っていて、頭の上には神様だか仏様が浮いているというものだ(こいつはその日欠席した奴といういうことか?)。ここまで来るとほとんど嫌がらせに近いような。

このアルバムを聴いて驚くのはまずジョージの声。恐ろしく荒れている。曲によっては、そういうエフェクターでもかけたのかと思うほど。「どうしちゃったの?」って感じの荒れようだ。

また、クラプトンにパティをかっさらわれた直後とあって、全体に暗い。今までのアルバムだって別に明るくはないけど、ジョージの荒れ果てた声とアコースティック・ギターを多用した音作りもあいまって、どこか痛々しい。全体にやけくそ感がそこはかとなく漂っているような。

歌詞的にも[3]なんかはかなり直接的にパティとの別離を歌っている。[4]はエヴァリ・ブラザーズのカバーだが、ポップな原曲のとは似てもにつかないアレンジで、やけくそ別離ソングに変容している。でも、ジョンが"I'm scared"と歌っても周りは感動するが、ジョージが"Hello lonliness"と歌うと、「女への嫌みを公共の場で言ってやがるな」とか、もしくは素朴に「気の毒に」くらいにしか思われないのはキャラの違いか。
宗教ソングも相変わらず登場、[5][9]なんかはモロにそうだろう。

それでもアルバムは4位にまで上がり、[6][7]も一応ヒットした([6]は全米15位を記録)。しかし、チャートにおけるジョージの絶対的な強さが、ややかげりを見せ始めたアルバムとなってしまった。



なっちゃん「やっぱりあんまりいいこと書いてないわね」
博士「うむ。このアルバムを携えての全米ツアーも成功とはいえず、ジョージのライブ嫌いは決定的になってしまったようだな。なにしろその後のツアーは91年の日本ツアーのみだかな。本国イギリスでのライヴも『プリンス・トラスト』と、日本ツアー後のNLP−マハリシの興した政党だけど−の支援ライヴの出演くらいじゃないかな」
中坊「その全米ツアー、ラヴィ・シャンカールも途中演奏したりして、かなり変な雰囲気だったらしいですね」
博士「まあ、ジョージ・ファンとラヴィ・シャンカールのファンは必ずしも重なってないだろうからねえ」
なっちゃん「っていうか、全然重なってないでしょ。ところで、『ファー・イースト・マン』ってロン・ウッドのファーストにも収録されているわよね。あれは結構好きだけど」
博士「基本的に同じようなアレンジだけど、ギター弾きまくりのロン・ウッド・バージョンよりジョージやつの方が枯れた味わいだよ。変な話、ロン・ウッドがロニー・レインと作った『マホニーズ・ラスト・スタンド』を連想する渋い仕上がりじゃ。このアルバムの中では唯一丁寧に作られた曲という感じかな。それだけに浮いてるけど」
中坊「なんかこの人の場合、そういうのパターンが多いですね。人に提供した曲が一番出来がいいとか、でもアルバムの中では浮いてるとか」
博士「そこがジョージの捉えどころのなさというか、才能があるのかないのかはっきりしない由縁じゃね」
なっちゃん「結局、あるの?ないの?」
博士「うーん、ないということはないとも言えないんじゃないんじゃないじゃろか」
中坊「結局よく分からないんですね」

(うらわ)

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George Harrison
"Dark Horse"

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George Harrison
"Extra Texture"
Produced by Geroge Harrison ('75)
All Songs Written by George Harrison

1.You
(二人はアイ・ラヴ・ユー)
2.Answer's at the End
(答えは最後に)
3.This Guitar (Can't Keep from Crying)
(ギターは泣いている)
4.Ooh Baby (You Know That I Love You)
(ウー・ベイビー、分かるかい)
5.World of Stone
(悲しみの世界)
6.Bit More of You
7.Can't Stop Thinking About You
(つのる想い)
8.Tired of Midnight Blue
(哀しみのミッド・ナイト・ブルー)
9.Grey Cloudy Lies
(暗い偽り)
10.His Name Is Legs (Ladies and Gentlemen)
(主人公レッグス)

私は一応ジョージ・ファン、ということになっているので、たまに、「ジョージのソロってどれがいいんですか?」と訊かれることがある。その時は「ベストが2枚出るから…、ベスト?」とやや自信なさげに答えてます。
あと、「どのアルバムが一番好きですか?」と訊かれることもあるのだけど、その時は「う〜ん、一番よく聴いたのはクラウド・ナインだけど…。一番好きなのは…、ジョージ・ハリスン帝国?」とやや半疑問的に答えてます。

正直に言って、ジョージのソロ・アルバムなんてものは万人に勧められるものではないと思っています。まあ『クラウド・ナイン』を除いて。『オール・シングス・マスト・パス』なんていうのは世間的には「傑作」ということになっていて、有名曲も入っているけど、本当にすごくいいアルバムかというと「どうなんだろう?」と逆に訊きたいとこです。

実はついさっきノルウェーのジョージ・ファンという方とチャットで少ししゃべったのですが、「どのアルバムが好きですか?」と尋ねたところ、「勿論、オールシングス・マスト・パス。あと、リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド、ゴーン・トロッポ」と答えてました。
僕もそれらを全部廃盤時代に集めた人間ですが、そんな僕からしても「こいつ、かわってんなあ」と思ってしまいました。

この『ジョージ・ハリスン帝国』は購入にかなり苦労して、色々想い出があるということもあるのですが、それを抜きにしても「なんとなく僕はこのアルバムが好き…なのか? それも大好きなの?か?」というアルバムです。

原題"Extra Texture"というのはどういう意味合いのネーミングなのかもう一つ推し量れませんが、それにしても『ジョージ・ハリスン帝国』っつーのはどうなんでしょうか。一曲々々にも邦題がついていたりして、当時の東芝EMI担当者の趣味、あるいは気合いなのでしょうか。
"Extra"というのは辞書を引くと「追加の」という意味と「極上の」という意味が載っています。"Texture"は「織物、手触り」という意味と「音楽の構成要素」という意味が載っている。
LP発売当時、ジャケの"Extra Textre"という文字部分は切り抜きになっていて、そこら辺の「へんな手触り」と「極上の音楽」という意味を掛けているのかな〜、などと推測したりしますが、全然違いますか?

あと、もう一つ考えられるのが、このアルバム、75年の録音なのだけど、1曲目の「二人はアイ・ラヴ・ユー」(B面のはじめにもリプライズが入る)だけが、71年にロニー・スペクター用に録音されたもの手を加えて使用している。ファースト・シングルでもあるし、アルバムの要ともいうべき位置にある曲が昔の録音を使ったもの、そういう「つぎはぎで作ったアルバム」という意味合いで"Extra Texture"なのかなあ、などとも思ったりしますが、全然違いますか?

実際には「帝国」なんて大仰な言葉が全くそぐわない、非常にソフトでメローなアルバムです。ジョージはよく「泣き節」と形容されていますが、前作『ダーク・ホース』がパティとの一件で本当に泣いちゃってる内容なのに比べ、音楽的に素晴らしく「泣き節」です。
ただ、これをビートルズみたいなバンド・サウンドの延長線上で聴くと肩すかしを食うかも。デヴィッド・フォスターが全面的に参加していることからも分かるように、非常にSSW的、AOR的アルバムです。
主な参加メンバーはデヴィッド・フォスターの他、ジム・ケルトナー、ゲイリー・ライト、ジェシ・エド・デイヴィス等。クラウス・ヴアマン、レオン・ラッセル、ビリー・プレストン、ニッキー・ホプキンスなんて名前も見れる。

例えばジョージが囁きチックに時に裏声チックに歌う[2]なんて、「相変わらず湿っぽい曲だなあ」なんて思う反面、聴いた数日後、頭からそのメロディーが離れなくなり、「うおー、鳴り止まねえよ、あの囁きボイスが頭の中で」「これだけ俺の脳内にとどまろうとするこの曲はもしや名曲?」と思ったりします。
[3][4][5][7][8][9]も同様。[3]なんつーのは「ホワイル・マイ・ギター」の続編ということで期待しまくりで聴いたのですが、「なんか…、とらえどころのない曲?」と当初がっくりしたものですが、今ではたまに無性に聴きたくなります。
「泣き節」とはいってもほんのり明るく、淡い温かさを持った曲が多いのも特徴。

最終曲「主人公レッグス」は元ボンゾ・ドッグ・バンドのレッグス・ラリー・スミスに捧げた歌、というかレッグス自身が曲中に参加してますが。レッグスは一時期「職業=ジョージの友達」状態だったらしいです。笑福亭鶴瓶に対する淀川氏のような存在だったのでしょう(って例えが分かりにくいんだよ>おれ)。
この曲と先に挙げた「二人はアイ・ラヴ・ユー」だけがアップ・テンポなバンドっぽい音で、なんか浮いてるような気もする。だけど、この2曲が無ければ多分最後まで聴く前に寝ちゃうでしょうね(笑)。でもその時見る夢は、それ程悪い夢じゃないかも、と思うのです。(うらわ)

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"ジョージ・ハリスン帝国"

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George Harrison
"The Best Of Geroge Harrison"
Produced by George Martin
/George Harrison & Phil Spector
/George Harrison ('76)
All Songs Written by George Harrison

1.Something
2.If I Needed Someone
(恋をするなら)
3.Here Comes The Sun
4.Taxman
5.Think For Yourself
6.For You Blue
7.While My Guitar Gently Weeps
8.My Sweet Lord
9.Give Me Love (Give Peace On Earth)
10.You
(二人はアイ・ラヴ・ユー)
11.Bangla Desh
12.Dark Horse
13.What Is Life
(美しき人生)

ジョージについて書いてみようと思う。

大学時代、僕は割とジョージ・ファンとして認知されていたと思う。ビートルズのサークルに入っていたけど、ジョージのソロ・アルバムを大体持っているという人はあまりいなかったから。当時CDなんか出ていなかったし、LPもほぼ廃盤状態だった。なのに、わざわざ集めたのには訳がある。

他の項でも書いたが、僕の姉は気がついたときには、ビートルズのオリジナル・アルバムは全部持っていた。ソロも、ポールとジョンについては主なアルバムはあった。
色々聴けて、便利は便利だけど、だんだん自分のアルバムも欲しくなる。自分が開拓した新たなビートルズのアルバム。そうなると選択肢はジョージかリンゴとなる。当然、ジョージを選んだ。(今思えば、リンゴを選んだとしてもそれなりに楽しかったかもしれない。でも、その頃僕はティーン・エイジャーで、ティーン・エイジャーにリンゴを選ぶのは無理だった)

当時、『クラウド・ナイン』が発売されて、ジョージ周辺は盛り上がっていた。僕もこのアルバムはすごく気に入って、本当に良く聴いた。多分一番多く聴いたアルバムの一つだろう。
このアルバムは、今思えばジェフ・リンの色がヒッジョーに強いんだが、当時は「ジョージもいいじゃん」と素直に思ってた。東芝EMIから出ていたカタログにジョージの他のアルバムが紹介されていて、どんな音なのだろうと夢想した。
姉貴に「ジョージのアルバムを買おうと思う」と言ったら、余りいい顔されず、よけいムキになったのもあるかもしれない。元々僕はゴレンジャーでもミドレンジャーを応援してしまうようなところがあったし。みんなに見向きもされないジョージのアルバムでも、一枚に一曲くらいはいい曲があるはずである。それをを集めて、誰も知らない至高のベスト・テープを作ろうと、高校生の僕は決心したのである。

当時、西新宿のレコード屋街というのは全然知らなくて、普通のレコード屋ばかり廻っていた。せいぜい池袋西武の輸入盤コーナーとか(当時はWAVEと言う名前ではなかったと思う)、神保町のササキ・レコードくらいである。それでも『オール・シングス・マスト・パス』、『リビング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』、『ダーク・ホース』、『33&1/3』『慈愛の輝き』、『サムウェア・イン・イングランド』、『ゴーン・トロッポ』は揃えた。

でも『ジョージ・ハリソン帝国』(すごいタイトルだ)だけはなかなか見つからず、とうとう高校生活の終わり、つまりは受験の時期までずれ込んでしまった。
大して勉強していなかったし、予想通り、受けた大学は軒並み落ちていった。
それでもやはり気分は暗くなる。最後の合否発表は明治で、心配してくれたんだろう、姉貴が発表を見た足で『ジョージ・ハリソン帝国』を捜しに行こうと、一緒に付いて来てくれた。

当然、明治も落ちていたわけで、くらーく京王線で新宿に向かったのだった。
この日のために姉貴は西新宿のレコード屋のことを調べてくれていたようで、かなり自信ありげだったように思う。ところが、無いのである。全然、見つからないのである。天気もなんだか悪くて、この上なく不景気な気分になった。
姉貴としても不憫に思ったのだろう、原宿のゲット・バックにまで引っ張っていってもらったのだが、そこにも無いのである。じめじめした山手線に乗って姉弟くらーく帰ったのだった。
しかし、今思うとほんと家族とはありがたいものだ。これ一つとっても姉には一生分借りがあると思う。

しかし、そんな『ジョージ・ハリソン帝国』もその後簡単に見つかった。見つかる時はごろごろ見つかる。そんなものだ。そしていわゆる「ソロ・アルバム」も揃ったわけで、先の念願のベスト・テープも完成した。今でも取ってあるので松村雄策風に書いておこうと思う。

Side A
1.My Sweet Lord
2.What Is Life
3.Hear Me Lord
4.Give Me Love (Give Peace On Earth)
5.You

Side B
1.Dark Horse
2.Bangla desh
3.Teardrops
4.All Those Years Ago
5.Just For Today
6.Got My Mind Set On You

今見ると、穏当かつ偏った選曲である。左のベスト盤と6曲も重なっている。そして、せっかく手に入れたにもかかわらず、『33&1/3』、『慈愛の輝き』と『ゴーン・トロッポ』からは一曲も入っていない。
『慈愛の輝き』はいいアルバムなのだけど、シングルっぽい曲、つまりこういうベスト・テープに入るような曲がなかった。一方、『33&1/3』、『ゴーン・トロッポ』の方は単純に該当作なしといった感じだった。(後に出た『ベスト・オブ・ダーク・ホース1976〜1989』には色々入っていたが、いれすぎ、と思った)

今テープを作りなおすなら(作りなおさんけど)、また違った選曲になるだろう。『ジョージ・ハリソン帝国』や『サムウェア・イン・イングランド』にはいい曲多いから。しかし、これらのアルバムについては、また個々に書こうと思います。

ところで、ところで76年に出たジョージのEMI時代のベスト・アルバム、前半はビートルズという、ひどい内容のもの。僕ならずとも、ちゃんとしたベスト盤を作ってあげたくなるよね。(うらわ)

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