Album Review "G"
アルバム・レビュー"G"



Gallagher And Lyle
"Breakaway"
Produced by David Kershenbaum
('76)
All Songs Written by Benny Gallagher/Graham Lyle

1.Breakaway
2.Stay Young
(いつまでも若く)
3.I Wanna Stay with You
4.Heart On My Sleeve
5.Fifteen Summers
6.Sign Of The Times
7.If I Needed Someone
8.Storm In My Soul
9.Rockwriter
10.Northern Girl
(北国の少女)

関連項目:
McGuinness Flint "The Capitol Years"

「ギャラガー」といえば「兄弟」と来てしまいそうだが、「ギャラガー&ライル」はいかが?

ギャラガー&ライルはアップルお付きのソングライター・チームとして活動していたこともある二人。メアリ・ホプキンの"Sparrow"、"Field Of St. Etinne"、"Heritage"などを手掛けている。マッギネス・フリントにも参加してたりして、熱心なファンの方も結構いらっしゃるみたいですね。

僕は全然熱心なファンではないので、国内盤CDが出ていたことさえ知りませんでした。76年の4作目にあたる本作品、95年にポリドールから発売されています。
中古盤屋で手に取り、「あ、ギャラガー&ライルじゃん!」>「国内盤出てたのか(笑)」>「お気楽なジャケにやや悲哀感じるかも(笑)」>「しかもこれ超きれいだし、デッド・ストックが流れてきたものかも(笑)」>「しかも1000円切ってるし(笑)」>「しかも結構いいアルバムだったりするんだろうな(笑)」
と全体に『(笑)』が多い思考経過の後、買いました。

実際、いいアルバムだったりするんですよね。やっぱり。

僕はマッギネス・フリントにおける彼らくらいしか知らないので、断定は出来ないのですが、多分駄作の全然ない人達なのでは?

基本はアコースティック、ハモリ重視。メロは淡目。[2]なんか典型的だと思うのですが、淡いメロで淡いハモリ。「只今お送りしているのは髭もじゃ二人組による美しく淡いメロでございま〜す」という感じ。

レゲエ仕立てだが、やはり淡目の[4]はリンゴが78年のアルバム『バッド・ボーイ』で取り上げている。しかし、例えばこのアルバムの中からわざわざこの曲を取り上げるというのは面白い。面白いというか「なるほど」というか「リンゴって自分の持ち味分かってるのかも」という感じ(ヴィニ・ポンシアのアイディアかもしれませんが)。一言でいえば「可愛い曲」だよね。

全体にはシンセを薄く被した音処理をしたり、黒っぽい[9]があったり、ジョーイ・モーランド風ロックン・ロールの[10]があったり、結構色んな味付けをしているのですが、やっぱ基本の「アコースティック・ブラザー」ぶりは滲みでてしまっていて…(苦笑)…いい感じです。

エンジニアはあのジェフ・エメリック。クリアかつバランスのとれた音色はさすが。(うらわ)

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Breakaway
"Breakaway" [FROM UK]

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George Harrison
"All Things Must Pass"
Produced by Phil Spector ('70)
All Songs except 1,6&20 Written by George Harrison
1 by George Harrison/Bob Dylan
6 by Bob Dylan
20 Based upon "Congratukarions" by Martin & Coulter

1.I'd Have You Anytime
2.My Sweet Lord
3.Wah-Wah
4.Isn't It a Pity (Version One)
5.What Is Life
(美しき人生)
6.If Not for You
7.Behind That Locked Door
8.Let It Down
9.Run of the Mill
10.Beware of Darkness
11.Apple Scruffs
12.Ballad of Sir Frankie Crisp (Let It Roll)
(サー・フランキー・クリスプのバラード)
13.Awaiting on You All
14.All Things Must Pass
15.I Dig Love
16.Art of Dying
17.Isn't It a Pity (Version Two)
18.Hear Me Lord
19.Out of the Blue
20.It's Johnny's Birthday
(ジョニーの誕生日)
21.Plug Me In
22.I Remember Jeep
23.Thanks for the Pepperoni

関連項目:
ジョージ・ハリスン・アンケート

今日も暇そうな、蕨にある中古レコード屋「博士堂」。店の主人=博士と、唯一の店員"なっちゃん"こと谷津夏代は、しょうもないジャニーズ・ゴシップ話に花を咲かせていた。
そこに"中坊"こと常連客の中野慎二がやってきた。手にはA4版の緑の本を携えている。

中坊「今日、神保町の方まで廻ってきたんですけど、変な本見つけましたよ」
博士「ん、どれどれ、『Super Beatle 90's Issue』か。なるほど、某大学のサークルが出している同人誌みたいなもんだね。この手のものは結構法外な値段で古本屋に置いてある時もあるけど、いくらだった?」
中坊「50円でした。いや、消費税とられて52円」
なっちゃん「10年以上前に書かれたものじゃ、今じゃ結構古くさい内容になってるんじゃない?」
博士「まあ、それを言ったらビートルズなんて30年以上前に解散してるわけだし、そうそう今と情報は変わらんとは思うけどな。しかし、そうは言っても微妙に見方がずれていたりして、それはそれで趣き深いもんだよ」
なっちゃん(頁を繰りながら)「ポールが来日した年だから、その特集がやっぱり載ってるわ」
中坊「ジョージ・ハリスンのソロのディスコグラフィーが載ってますけど、最新アルバムがウィリベリーズの『ヴォリュームI』ですからね。やっぱ時代を感じますよ」
博士「あー、この頃はジョージの旧作群はほとんどCD化されてなくて、昔からのファンはともかく、新しいファンはジョージの古いソロなんか全然聴いていなかった頃だよ。インターネットもなかった時代だし、ジョージのディスコグラフィーというのもあんまり纏まったものはなかったんじゃないかねぇ」


ビートルズ解散後のジョージ最初の作品。1970年4月のポールの解散宣言の後、5月末にレコーディングが開始され、11月末に発表された。プロデューサーはフィル・スペクターである。ビートルズ時代に発表された2枚のソロ作品、『不思議の壁』、『電子音楽の世界』が、前者が映画のサウンド・トラック、後者がシンセサイザーを使った実験的な作品だったことを考えると、この作品こそが実質的なソロ・デビュー作と言えるだろう。当時LP三枚組というヴォリュームも話題となった。

アルバムは全米No.1の大ヒット、シングル[2]も英米で1位を記録、[5]も米10位の大ヒットとなった。[2]は元ビートルズの放った初のNo.1シングルとなったが、ご存じの通り、のちにシフォンズの"He's So Fine"の盗作と訴えられ、黒の判決を受けている。しかし、ジョージ自身はエドウィン・ホーキンス・シンガーズの"Oh Happy Day"に触発されたと、訳の分かったような分からんような弁解をしている。結構負け惜しみの強い彼は、後のTVショー出演の折、"The Pirate Song"という、出だしだけ[2]と同じ曲を演奏したり、"This Song"という曲では、「僕の知る限りこの曲は白でも黒でもないし、誰の著作権も侵害していない」と歌っている。本人は皮肉のつもりなのだろうけど、周りから見ると悲しい強がりのような気も…。

それはともかく、アルバムの音楽的な面では、ビートルズの後期のジョージのスタイルにフィル・スペクターのアレンジを加えたものになっており、"Somethinng"、"While My Guiter Gently Weeps"とまではいかないものの美しい曲が数多く聴ける。
また、LPのE、F面にあたる[19]〜[23]は「アップル・ジャム」と題してギター・プレイによる気ままなセッションを収録しており、LPのレーベルもE、F面だけりんごの絵ではなく、りんごジャムの絵を使っていたりする。[20]はジョンの30才の誕生日を祝ったもの。

ジョージはソロになってから、歌詞で二つのテーマを一貫して持っている。一つは神とその愛、もう一つはビートルズであったことで心に受けた傷についてであり、このアルバムの中で既にそれらのテーマが取り上げられている。
前者は[2][4]であるのは明白だ。後者は例えば[3]で、「Wah-Wah、君は僕を大スターにしてくれた/10セントの価値もない/もうWah-Wahはいらないのさ」と歌う。[11]などもそれにあたるだろう("Scruffs"とは薄汚くだらしない人の意)。甘い蜜を吸うためにアップル/ビートルズに集まってきた人達をさしているのだろうか。



なっちゃん「どうということもないレビューね。今だったらこの程度の情報、ネットのそこら中に転がってるんじゃないかしら」
博士「まね。今とこの頃じゃ、知られている情報自体はあまり変わらないけど、それを手に入れる気軽さが全然違うからね。大学生風情には、この位がぎりぎりだったんじゃろ」
中坊「そういえば最近、ジョージが"He's So Fine"の権利を購入済みという話を聞いたのですけど、本当なんですかね?」
博士「さあねえ。わしもその話は聞いたことはあるけどね」
なっちゃん「でも、さっきのレビュー、『ジョージ自身はエドウィン・ホーキンス・シンガーズの"Oh Happy Day"に触発されたと、訳の分かったような分からんような弁解をしている』というくだりは初めて知ったかも。あたし、"He's So Fine"は聴いたことあるけど、"Oh Happy Day"って知らないわ。博士は聴いたことある?」
博士「あるよ。まあ、どっちも似てるわな。曲調は大分違うけど、時代のせいもあるかな。"He's So Fine"は63年発表の典型的ガールズ・グループ・ポップ。"Oh Happy Day"は69年発表でずっとソウルフル。まあゴスペルって形容が一番ぴったりな感じなんだけどね」
中坊「ゴスペルということは教会歌が基本なわけですから、宗教は違うにしても、"My Sweet Lord"と共通するところはありますよね」
博士「お、中坊くんの鋭い指摘。そうそう、69年という時代の近さを考えても、宗教ソングである共通点を考えても、案外ジョージの言い分はホントなのかもしれないな。もっとも、ブルースにしてもゴスペルにしても初期のロックン・ロールにしても、作者不明のものを下敷きに使っていたり、お互いパクりパクられ合うのは暗黙の了解の下だったから、訴えられたジョージは気の毒といえば気の毒だけどね。70年代という時代は、このアルバムのジャケット程、のどかではなくなってしまっていたんだね。特に売れれば売れるほど」

(うらわ)

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All Things Must Pas
"All Things Must Pass
[New Century Edition]

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George Harrison
"Living In The Material World"
Produced by George Harrison/ George Harrison & Phil Specter ('73)
All Songs except 9 Written by George Harrison
9 by George Harrison/Phil Spector

1.Give Me Love (Give Me Peace on Earth)
2.Sue Me, Sue You Blues
3.Light That Had Lighted the World
4.Don't Let Me Wait Too Long
5.Who Can See It
6.Living in the Material World
7.Lord Loves the One (That Loves the Lord)
8.Be Here Now
9.Try Some Buy Some
10.Day the World Gets 'Round
11.That Is All

"All Things Must Pass"の項に続き、『Super Beatle 90's Issue』を肴にした「博士堂」でのジョージ与太話はまだ続く。
中坊「あ、『オール・シングス』の次は『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』ですね」
なっちゃん「あれも一応名作ということになっているわよね。どういうレビューが載ってる?」


"All Things Must Pass"から三年振り、歴史的なチャリティー・ライヴとなった"The Concert For Bangladesh"をはさんでの1973年発表の作品。(余談だが、この時の収益金はトラブルでずっとどっかにつかえたままだった、という話も聞いたが結局どうなったのだろうか)

このアルバム、まずジャケットが気持ち悪い。そして中に入っているブックレットにも変な宗教画みたいなものが載ってて気持ち悪い。詞の内容もほぼ全曲宗教的なメッセージが占めている。にも関わらず全米No.1を獲得した。シングル[1]も米1位に輝いた。よっぽどジョージって人気があったのだろう。

音楽的には"All Things..."をよりコンパクトに一曲一曲を充実させたような印象で、[6]での曲のブリッジでは久々にシタールを聞かせてくれるなど、全体に余裕を感じる。No.1を獲ったのもダテ(だけ)ではない。
詞作の面では、先に述べたように、[1][7]をはじめ宗教的メッセージが強く打ち出されているが、[6]ではビートルズ批判的なものも顔を覗かせ、相変わらずである。

[9]だけはフィル・スペクターとの共同プロデュース。この曲は元々はフィル・スペクターの(当時)夫人のロニー・スペクターのために書かれた曲。やや浮いている気もするが、LPのB面のハイライトといっていい「音の壁」な仕上がり。


博士「あいかわらず毒にも薬にもならんレビューじゃな」
中坊「あのサーモグラフィー状の掌ジャケはかなり不気味ですよね、たしかに。あのブックレットもなんか恐いし」
博士「後光が差している人物が軍馬に乗っているあれね。あれは大方、頭に飾られた孔雀の羽飾りからして、ジョージが敬愛してやまない神様、クリシュナなんだろうな。『バガバッドギーガー』の一場面なのかな」
なっちゃん「あれがクリシュナなの? 2000年のジョージ襲撃事件の時に、思わず『ハレ・クリシュナ、ハレ・クリシュナ』って唱えて刺されちゃったていう」
博士「うむ、相手はジョージに取り付かれていると思いこんでいた狂信的キリスト教徒だったらしいからな。最悪の言葉を最悪の相手に投げかけてしまったようなもんだ」
中坊「まあ、奥さんが電気スタンドで退治してくれたから笑い話にもなりますけど…。ところで博士はロニー・スペクター・バージョンの『トライ・サム・バイ・サム』は聴いたことありますか?」
博士「うん、あるよ。っていうか、全く同じオケじゃよ。ボーカルが違うだけで。アップルから71年に出されたシングルだから、『オール・シングス』セッションからの流れで生まれた曲なんだろうな」
なっちゃん「なんか浮いてるものね、あの曲。私的には宗教とかどうとか抜きにして、『ギヴ・ミー・ラヴ』とか『ドント・レット・ミー・ウェイト・トゥー・ロング』とかが好きだけど」
中坊「ああ、いいですよね、そこら辺。アコースティックで、リズムとか割りと曖昧としてるんだけど、そこが暖かみがあるような味になってて」
博士「そういえば、マドンナの『マテリアル・ガール』っていう曲もあったなあ。ジョージはハンドメイド・フィルムって会社を持っていて、マドンナ主演の『上海サプラズ』っていう映画を撮ったけど、ジョージ自身、映画の記者会見で『初めてマドンナのビデオを見た時、"We are living in a material world"って歌っていて驚いた』みたいなことを言っていたな」
なっちゃん「その映画、面白いの?」
博士「いや、観てない」

(うらわ)

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