Album Review "B"#7
アルバム・レビュー"B"その7



The Bonzo Dog Doo Dah Band
"Gorilla"
Pruducued by Gerry Bron ('67)
1 Trad Arranged by Neil Innes/VIvian Stanshall
2,12&13 by Neil Innes
3 by L. Sarony
4 by D. Cross
5,7,9,11&14 by VIvian Stanshall
6 by Stanshall/Innes/Ash
/Spear/Slater/Nowell/Smith
8 by Nevin
10 by Lisbona/Connor
15 by Rogers & Hammerstein

1.Cool Britannia
2.The Equestrian Statue
(馬上の勇姿像)
3.Jollity Farm
4.I Left My Heart In San Fransicso
5.Look Out, There's A Monster Coming
(気をつけろ、バケモノが来るぞ)
6.Jazz, Delicious Hot, Disgusting Cold
7.Death Cab For Cutie
(かわいこちゃんへ死の車を)
8.Narcissus
9.The Intro And The Outro
10.Mickey's Son And Daughter
(ミッキー・マウスの息子と娘)
11.Big Shot
12.Music For The Head Ballet
(ドタマ・バレーのための音楽)
13.Piggy Bank Love
14.I'm Bored
(退屈したぞ)
15.The Sound Of Music

関連項目;
Neil Innes "How Sweet To Be An Idiot"

Roger Ruskin Spear "Electric Shocks"
The Rutles "The Rutles"
Various A#anchor_rutlesrtists "Rutles Highway Revisited"

知り合いに、「ホーム・ページに使われているあの犬はなに?」と訊かれたことがある。まあ、

こいつらのことですね。これらはジョージ・スタディーという人の描いたボンゾ犬たちです。ボンゾ・ドッグは日本の「のらくろ」にあたるようなもので、1920年代頃イギリスなどでは大変有名なキャラクターだったそうです。今でもボンゾ犬関係のグッズを集めているコレクターが海外には数多く存在しているらしい。

まあ、普通のビートルズ・ページでは林檎をあしらったマークをトレードマークにしたり、そんな感じでしょうが、当ページの場合、いつの間にか表紙にボンゾ犬というのが恒例になった。当然ボンゾ・ドッグ・バンドに敬意を表して、ということなのだけど、まあ、表しているような表していないような、「アルバム・レビュー」でもボンゾズのアルバムは欠番だらけである。

ボンゾズは当初、ボンゾ・ドッグ・ダダ・バンドと名乗っていました。「ダダ」はダダイズムのだダダですね。ダダイズムっていうのはやはり1920年代に一世を風靡した反芸術的芸術運動。あんまり、というか全然詳しくはありませんが、シュールレアリズムの原型になったような、ある種のナンセンス主義的運動、と解するとイメージが持ちやすいかもしれません。そもそも「ダダ」とはフランス語で「子馬のおもちゃ」の意味。なんで芸術運動の名前に「子馬のおもちゃ」なんて言葉が選ばれたかというと、全然意味がないから。「とにかく意味はない!」と標榜するために敢えて選ばれたわけです。

で、「狂騒の20年代」に大いに共感を持ったらしい彼らは、その時代の象徴であるボンゾ犬、ダダイズムからとって「ボンゾ・ドッグ・ダダ・バンド」と名乗ったのでしょう。リバプールの四人がが「バディー・ホリーがクリケッツだからオレ等はビートルズ」と名乗ったのに比べると、(やや)インテリっぽいっすね。

その後「ダダ」は直接的すぎると思ったのか、このアルバムがリリースされる時には「ボンゾ・ドッグ・ドゥーダ・バンド」と名乗っている。その後「ドゥーダ」もとれて「ボンゾ・ドッグ・バンド」となる。(実際その名前になったセカンドでは20年代的要素は音楽面でも大幅に少なくなっている)

ボンゾズの詳しいレビューなどは、恐らく日本で唯一ちゃんとしたディスコグラフィーを備えていると思われるかぜさん主宰するところの(NIさんもヴィヴ関係の部分を担当されています)Cool Brittanniaなどをご覧になっていただきたいが、この時点でのバンド・メンバーはヴィヴィアン・スタンシャル、ニール・イニス、ロドニー・スレイター、ロジャー・ラスキン・スピア、レッグス・ラリー・スミス、ヴァーノン・ダドリー・ボヘイ・ノエル、サム・スプーンズの七人。

僕自身、最初にボンゾズに接したのは「マジカル・ミステリー・ツアー」で披露される[7]の「かわいこちゃんに死の車を」だったのだけど、その時の印象は正直あんまりよくなかったですね(笑)。少なくともビートルズ・ライクな音とは思わなかった。単なるエルヴィスの気持ち悪いパロディーにしか見えなかった。

でも、彼らのアルバムを一通り聴くと分かるのですが、これは単なるパロとはちょっと違う。
無理にビートルズに例えて書くと、当初ロイ・オービソンを意識して書いた「プリーズ・プリーズ・ミー」が、テンポ・アップしてハーモニカとか加えたらなんかポップでロックで今までにない音になっちゃった、というのと似た現象で、思いっきり皮肉でねっとりしたエルヴィス風の曲を書いたら、なんだかこの世に存在しないスーパー・ムード歌謡になっちゃった、みたいな。
何だか中毒性のある音で、今では、この弛緩したラッパとピアノ、ボーカル、コーラスが、「プリーズ・プリーズ・ミー」のハーモニカとギター・リフ並に私には鮮烈に聞こえます(笑)。

最初は冗談で始めたと思われる、この「スーパー・ムード歌謡」路線は本人達をも魅了したらしく、『タッド・ポールズ』収録のヴィヴによる「君の心の渓谷」はテレビ出演時の彼らの定番曲となる。(銀色のスーツに身を包んだヴィヴが、情感豊かに豊かに非常に豊かにも一つ豊かに歌い上げる)
ニール・イニスは淡々と横で演奏していたが、その実「スーパー・ムード歌謡歌手」路線がうらやましかったらしく、後のテレビ番組「ブック・オブ・レコード」でヴィヴを越えるような「スーパー・ゴージャス・ムード歌手」ぶりを披露していた。(何しろ衣装に照明がついていた)

って、ほとんどアルバムの説明もしないままこの文章は終わろうとしているのですが(笑)、思いっきりビートルズ絡みの[7]があるとはいえ、20年代スタイルの中心のこのアルバム、音楽的に難解な面はこれっぽっちもありませんが、ビートルズ経由のボンゾズ入門編としてはそれほど適切ではないかも。よりロック色の強いセカンド辺りから聴くとすんなり入っていけるような。で、このアルバムを聴くと、何でビートルズが彼らに受けまくってしまい、映画に引っ張り出したり、ジョンとヴィヴが意気投合して一緒に遊び回ったりしたか、分かるような気もします。(気もしますって、そんな結びありなのか>おれ)
(うらわ)

Amazon.co.jp アソシエイト
Bonzo Dog Doo Dah Band
"Gorilla" [FROM UK]

AmazonBonzo Dog Bandを検索
This Item may be ... On Third Round



The Bonzo Dog Band
"Urban Spaceman"
Produced by Gerry Bron/Apollo C. Vermouth/Gus Dudgeon ('69)
1,3,5&7 Written By Neil Innes
4,9&12 by VIvian Satanshall
9 by Roger Ruskin Spear
2,6,10&11 by Neil Innese/Vivian Stanshall

1.I'm The Urban Spaceman
(
おいらは町の宇宙飛行士)
2.We Are Normal
3.Postcard
4.Beautiful Zelda
5.Can Blue Men Sing The Whites?
(
ブルーな野郎にホワイツが歌えるか?)
6.Hello Mabel
7.Kama Sutra
8.Humanoid Boo-gie
9.Trouser Press
(
ズボン・プレス)
10.My Pink Half Of The Drainpipe
(
片足がピンクの私のズボン)
11.Rockaliser Baby
12.Rhinocratic Oaths
(
ライノクラテスの誓い)
13.11 Moustachioed Daughters
(11
人の口ひげを生やした娘達)

これは『アーバン・スペースマン』。元々"The Doughnut In Granny's Greenhouse"というタイトルで68年にイギリス発売されたが、ポールがApollo C. Vermouthの変名でプロデュースしたシングル"I'm the Urban Spaceman"がベスト5ヒット。
うんじゃあ、ということで、アメリカ発売の際には[1]が加えられ、タイトルも変更されてしまった。

現在MSIから発売されている日本盤をはじめ、CDは基本的にこのフォーマットとなってます。アメリカ盤を元にしているわけです。
まあ、本来おかしな形なのだけど、最初にこれを聴いてしまったので、個人的にはあまり違和感は無いです。

帯に「ポール・マッカートニーのプロデュースの…」とあるので、昔から気になっていたのだけど、買ったのは、レコード屋さんのセンスのせい。

稲田堤の駅を知っているでしょうか?南武線沿線なのだけど、電車の窓から見る限り、東京近郊の駅とは思えない、ひっそりとした雰囲気で、「いなだづつみ」という語感とあいまって、非常に気になっていた。
ある時、音楽雑誌の広告に「ディスク・ユニオン稲田堤店」の広告を見つけ、休みの日に行ってみた。僕は国立のレンタル・ビデオ屋にビデオ借りに行ったりとか(あげく、「自宅が遠すぎます」と断られた)、そういう無意味なことが割と好きです。

ユニオンは店ごとに結構違っていて面白いのだが、稲田堤店も独自だった。今どうだか知らないが、当時は「ポップ」にこだわりを持つ店員さんがいたらしく、それ系のCDが充実していた。

そして、驚いたのが"Beatles"のしきり。そこにボンゾのCDが堂々と入っていたのだ。かなり強引だが、主張を感じる。その主張に敬意を払い、長年買おうか迷っていた本CDを買った。ずっと買うかどうか迷っていた最大の理由は、「難解そう」ということだった。しかし商品の置き方で主張する店員さんのおかげで、なんとなく「ああ、そうなのか」という気分になったのだ。

実際、家に帰って一曲目を聞いた途端、「難解そう」というのは全くの誤解だと知った。そりゃ、歌詞とか突っ込んで見てみれば色々あるのだろうが、音だけ聴く限り、こんな分かりやすいものはない。そして、音の感触が何故かビートルズを思い出さずにいられない。何故だろう。

そして、本ページは「ビートルズ」の冠を戴きながら、その周りばかりぐるぐる廻っているわけですが、その精神の何パーセントかは稲田堤の店員さんに由来しているのかもしれません。(うらわ)

Amazon.co.jp アソシエイト
"Urban Spaceman"

AmazonBonzo Dog Bandを検索
This Item may be ... On Third Round



The Bonzo Dog Band
"Tadpoles"
Produced by Gus Dudgeon ('69)
1 Written by Hargreaves/Damerell
/Evans
2,3 By Roger Ruskin Spear
4 by Oliver/Melrose
5 by Pickett/Capizzi
6 by Neil Innes
7 by Gay
8 by Bradley
9 by Kahal/Fain
10 by VIvian Stanshall/Neil Innes
11 by Vivian Stanshall

1.Hunting Tigers Out In "Indiah"
(インドの虎狩り)
2.Shirt
3.Tubas In The Moonlight
(月影のチューバ)
4.Dr.Jazz
5.Monster Mash
6.Rady Made
7.Ali Baba's Camel
8.Laughing Blues
9.By A Waterfall
(滝のそばで)
10.Mr. Apollo
11.Canyons Of Your Mind
(君の心の渓谷)

ビートルズの『アンソロジー2』で最も感激したのが、"You Know My Name"のオリジナル・バージョン。元々変な曲で、何年にもわたってレコーディングされた事も有名だけど、どうも曲としてのつながりがあまりよくないように思われた。
それがアップテンポになる2番部分を加えられて非常にすっきりした。あそこがあってこそ怪しげな、いやらしいポールのボーカル大フューチャーな3番部分にすんなりつながり、だんだん崩壊してくる4番部分、ジョンがおかしくなってしまう5番部分もブライアン・ジョーンズのサックスも生きようというものだ。

この曲を聴いてから、ボンゾを続けて聴く。なんの違和感も無い。やっぱボンゾは裏ビートルズだなあと思う。もしくはビートルズは表ボンゾだなあと。二つのバンドはコインの表裏か、靴下の表裏みたいである(この表現って誰かがもう使ってたっけ?)。

ここまでビートルズとの相似でこのバンドを書くと嫌な顔をする人もいるかもしれないが、僕は割とこういう比較が好きである。昔、「巨人と西武って、コーラとポカリスエットみたいだな」とか思って一人納得してました(我ながら何のこった)。

さて左のアルバムだけど、『アーバン・スペースマン』のヒットを受けて69年に急遽作られたアルバム。TV番組で演奏された曲や、かなり初期の作品やらを無理矢理一枚にまとめたもので、ビートルズでいうと『オールディーズ』とか、『マジカル・ミステリー・ツアー』という感じ。
つまり、『オールディーズ』みたいに「割と時代も行ったり来たりでとっ散らかっちゃったー」感じで、『マジカル』みたいに、「別にちゃんとしたアルバムにする気もなかった割にはいい曲並んでるよー」って感じだ。

[1]の『インドの虎狩り』は『マジカル・ミステリー・ツアー』に匹敵するくらいの名曲だ(笑)。ただし、曲調は全く似てないのでその気になって聴かないように(念押)。

[2]はロジャー・ラスキン・スピアの曲。後々までなぜか尾をひいていくことになる「服シリーズ」物の一つ。ヴィヴがジョン、イニスがポールだとしたら、スピアはジョージか。一番何考えてんだか分からないところはキャラが多少かぶっているが、随分濃いジョージである。何考えてるのか分からなすぎて、ほとんど宇宙人みたいだぞ。
と思いきや、続く[3]もスピアの作なんだよね。ボードビル調の曲で、『ハニー・パイ』とか『幸せのアンサー』みたいな。

[4][8]辺りはかなり初期の音源で、トラッド・ジャズ風である。イニスのお父さんのいたテンペランス・セブン(ジョージ・マーティンがプロデュースをしたりもしてる)へのオマージュといった感じ。

[6]はイニスらしい美しい曲。小品といった趣で、デニス・コーワンのベースも素晴らしい。
50's風のコーラスの入った[5]、「ヘイ!アリババッ」という掛け声が聞きたくて何度も聴いてしまう[7]も重要曲でしょう。

そして最後はヴィヴの十八番である。TV出演時でもイニスがボーカルを取る時は『アーバン・スペースマン』、そしてヴィヴが歌う時はこの曲、というのが定番だった様だ。思いっきりラメの入ったスーツで朗々と歌い上げる。気分はべガスのディナー・ショーのスーパー・ディナー歌手である。途中のスーパー・ギター・ソロもいいね。


ところで左に掲げた曲目はMSI盤。『おたまじゃくし』という邦題が付いています。CDは米盤をもとにした選曲になっているので、オリジナル英盤とは多少違う。英盤だと[6]の代わりに"I'm The Urban Spaceman"が入っとるわけです。ベスト盤"The History Of Bonzos"の"I'm The Urban…"のイントロには不気味な笑い声がかぶっているが、これは英盤タッドポールズでは一つ前の曲、"Monster Mash"の終わり部分。(うらわ)
Amazon.co.jp アソシエイト
"Tadpoles"

AmazonBonzo Dog Bandを検索
This Item may be ... On Third Round


←BACK ABC順に戻る

ABC順に進む NEXT→


フロント・ページへアルバム・レビュー・インデックスへガラクタ箱入り口へ何らかの足跡(掲示板)ご意見・ご感想をください!