| 81年のスタジオ録音最後のアルバム。このアルバムでもう最後だろうという気があったかどうか、タイトルは意味深である。トム・エヴァンスはこのアルバム発表後に自ら命を断ってしまう。
ビートルズでいえばジョンとポールがいなくなってしまったわけで、ズートルビでいえば江藤君と山田君がいなくなってしまったわけで、さすがにバッドフィンガーもここまでと思いきや、ジョーイ・モーランドは未だに「ジョーイ・モーランズ・バッドフィンガー」と名乗って、堂々世界中を廻っている。彼のそういう豪快さは、悲劇続きのバッドフィンガー・ヒストリーにおいて一種の救いだと思ってます。
さて、このアルバムも先の『ガラスの恋人』同様、99年現在ではCD化されていない。中古LPは『ガラスの恋人』よりは流通している様で、割とよく見掛ける。
ピーター・マックスの絵が印象的なジャケット、描かれたおっさんの横顔はどこか淋しげだ。しかし、内容も物悲しいかというと、そうでもない。どちらかというと騒がしい。
この時点でのメンバーは、ジョーイ、トムと、トニー・ケイ(キーボード、元イエス)、リチャード・ブライアン(ドラム)、グレン・シェルバ(ギター)となっている。
前作が青春甘酸っぱメロディーと、お気楽ギター・ロックの二本立てだとすると、本作はほぼ、お気楽ギター・ロック一直線である。
では、ジョーイが主導権を握っているのかというと、クレジットを見る限りではどちらとも5曲づつ提供しているから不思議である。
トム・エヴァンスという人も分かったような、分からないような人だ。キャラの立たなさ加減が印象的だ。優れたメロディー・メイカーであることは間違いないが、彼が理想とする音楽スタイルというのはどういう形のものだったのだろう。何となくピート以上に悲劇的な人、と思えなくもない。
さて、このアルバム、傑作と言うにはさすがに問題あるが、やはりいい曲は何曲かある。(同時に言えるのは、バッドフィンガーの特徴だろうが、どうしようもない曲というのは一曲もない)
まず一曲目のポップかつハードなブギを聴いて、僕はこのアルバムを許した。ジョーイが好きな人ならこの一曲で十分だろう。
そしてトムの方もさっき書いたように、ジョーイに引っ張られるかのようにロックン・ロール路線の曲が多い。『ヘッド・ファースト』に収録されるはずだった[5]や、ロッド・ローチとの共作の[9]をはじめ、『俺だってたまにはエレキ・ギターでシャウトだぜ、ベイべ』という感じ。その後ばたっと倒れてしまったのでしょうか。
『ガラスの恋人』同様、他の作品を全部聴いた人が買うべき作品だろうし、聴いた人ならそれなりに楽しめると思います。(うらわ)
付記:このアルバムも『ガラスの恋人』同様、その後CD化されました。 |