| 71年のバッドフィンガーのサード。当初ジェフ・エメリックのプロデュースでレコーディングが行われ一旦アルバムは完成していたが、アップル側は出来が気に入らなかったらしく、お蔵入りとなった。その幻のアルバムの大部分は[13]〜[17]と、『ノー・ダイス』のボーナスで聴く事が出来る。
結局、今度はジョージのプロデュースの下で再レコーディングが行われた。[5][6][7][9]はジョージのプロデュース。結構バンドともうまく行ってたようで、[9]では泣きのギターなんか弾いている。
そこら辺の様子はライナーでジョーイ・モーランドが皮肉交じりで語っていて面白い。「ジョージが『僕がスライドギターを弾くのはどうかな?』と言うもんだから、彼はヒーローだし、ビートルズなわけで、『どうぞ、どうぞ、ぜひ』って答えたよ」
彼は荒削りな音が元来好きな人だから、どうもジョージの仕事は気に入らなったらしい。実際、[7]と[16]を聴き比べたら[16]の方が断然いい!
しかし、ピート・ハムとは同じ泣き節仲間ということで相性も良かったのか、[6]や[9]はなかなかいい仕上がりだと思う。ピートはどう考えていたのかぜひ知りたかったところだ。
ところでアルバムの方だが、そのままジョージがプロデュースできない事態が持ちあがった。バングラデッシュ難民救済コンサートである。結局そっちにかかりきりになってほっぽかれた上に、ピートとトムは手伝いまでさせられて、ジョージの後ろで『ヒア・カム・ザ・サン』のギターまで弾かされている。
そんなわけで、次に起用されたのはトッド・ラングレン。バンド側は彼のことを全然知らなかったので、慌ててレコード屋に行って彼のLPを買ったそうだ。結局アルバムは彼の手で仕上げられる事になったが、プロデュースのタイプとしてはジョージと同じもこもこサウンド系なので、全体にしっとりとした、トータル感のある作品となった。
制作過程がひどくても出来のいい作品というのは結構多いよね。(たとえば同じトッド・ラングレン・プロデュースのXTC『スカイラーキング』も喧嘩沙汰で作られたらしい)
しかし、個人的にはジェフ・エメリック・プロデュースの[13]〜[17]ももったいなく思う。ジョージ・マーティンがオーケストラ・アレンジをした[13][14]なんかもほんといい出来。まあ、こうして聴けるからいいんだけど。
[9]は全米4位、[18]も全米14位のヒット曲。(ここら辺でバッドフィンガー史から「ヒット」という言葉は消えていく。かなしい)
本人達の心境はともかく、ファンの間ではかなり人気の高いアルバムのようだ。地味だけど最高傑作、かな。(最高傑作が地味だというのもバッドフィンガーらしい)(うらわ) |