Album Review "B"#1
アルバム・レビュー"B"その1



Bad Boys
"Meet The Bad Boys !"
Produced by 新田和長 ('73)
All Songs except 4,6,7,14,15,16,17,18 Written by John Lennon/Paul McCartney
4 by Medley/Russell
6 by Bacharach/David/Williams
7 by George Harrison
14 by Brianbert/Dobbin/Garman/Garrett
15&16 by
吉田拓郎
17 by 廣田龍人
18 by 小田和正/The Bad Boys

1.I Want to Hold Your Hand
2.She Loves You
3.From Me to You
4.Twist And Shout
5.Love Me Do
6.Baby It's You
7.Don't Bother Me
8.Please Please Me
9.I Saw Her Standing There
10.P.S.I Love You
11.Little Child
12.All My Loving
13.Hold Me Tight
14.Please Mr. Postman

CD Bonus Tracks
15.
ビートルズが教えてくれた
16.チークを踊ろう
17.僕と踊ろう
18.
アイツのせい

ちょっと前に「マイルド・セブン・ライト偽造事件」というのがあった。海外で大量に作られた偽マイルド・セブンが国内に結構な量流通してしまったらしいというやつだ。
で、その手のニュースのおきまりの映像というのが、本物と偽物を並べて見せる、というものだが、それがかなり衝撃だった。くりそつ(笑)。文字色なんかは微妙に違うような気もしたが、カートンから箱、煙草そのものまでかなり忠実に再現されていた。味はどうだか知らないけど、あれだけ見かけがうまく作ってあったら、多少味が違っても「ん?なんか煙草の味ヘンかも…。体調悪いんかな、今日」なんて思ってしまうかもしれない。

で、たまたま友人のSくんとそのニュースの話をしていた時に漏らしてしまった私の失言。「でもさあ、あれだけ似たもの見せられると、なんか欲しくならない?あれ」。で、Sくん「欲しい欲しい。僕も欲しいです」。
更に僕の失言が続く「っていうか、おれも負けないぞっていうか、もっと似たもの作っちゃうことに挑戦したくなっちゃうような」。で、驚いたのはSくんの返事。「分かります。なんか作ってみたくなっちゃいますよね」。

お断りしときますが、作りませんよ、偽煙草なんてぼくもSくんも(笑)。でも、打てば響くように同意の返事が戻ってきたのには驚きました。そういうヘンな衝動というか欲求って自分だけかと思っていたのですが、お仲間は結構多いようで。

思えば偽煙草作りだって、プラモ作りだって、ドール・ハウス作りだって、Nゲージのジオラマ作りだって、始皇帝の陵墓の兵士の像作りだって、Photoshopのクローン作りだって、それぞれ「作る言い訳」はあるだろうけど、「本物そっくりなものを作ってみたい。再現したい」という欲求が隠されているようないもする。コレってなんなんですかね? 本能なんですかね? 究極的には「自分そっくりなもの作りたい」って子作りしちゃうんですかね?

世の中いろいろなアーティストのコピー・バンドがあるだろうけど、ビートルズのコピー・バンドはやはり群を抜いて多いんではないでしょうか。理由は色々あるでしょう。まずは圧倒的なポピュラリティー。そして四人という少人数で結成可能。また、「前面に出るボーカリスト」を必要としないので、普段比較的シャイでおとなしい人達でも「やってみようかな」と思いやすい。あと、特に初期ビートルズはギター、ベース、ドラムの単純な構成で、「結構コレなら簡単に、僕たちでもコピれるかも」という気になりやすい。

僕自身はビートルズのコピー・バンドをちょっとだけやってみて、全然全く一切向いていないと悟りすぐ身をひいた人間なので偉そうなことは言えないけど、一応ビートルズ系バンド・サークルに属し、色々なバンドを見させてもらったし(練習含めて)、過去の先輩達の伝説も色々聞かせてもらった。また、国立リバプールやら六本木キャバーンなどでプロまたはセミ・プロのコピー・バンドも結構見ましたし…。語るだけなら結構語れると思います (^^;)。

で、さきに書いた「結構コレなら簡単に、僕たちでもコピれるかも」という理由、これは実は曲者だったりするのですよ。
まず、ポール役の人は最初から「ポールはテクニシャン」という意識で取り組みますし、ジョン役の人は「とりあえずおれは歌いたいし」という人が多いだろうから、まあいいとして、「これって一体…」って顔に斜線入っちゃうのはジョージ役とリンゴ役の人ではないでしょうか。

あの、ヘロヘロした妙なタイミング、フレージングのジョージのギター、あれを再現する困難さ。「とにかくタイミング微妙だし、スケーリングもよく分かんないし、ハモラなくちゃいけないし。ジョージって…、うまい…の?」と皆さん悩まれるようです。で、ライブ映像とかで演奏を研究した結果、日本人の手のでかさでは再現不能なスケールの握り方をしてることが判明したりして、頭を抱える、と。
リンゴ役の人も「昔、バンドでドラムやってました。パンクですけど(笑)」とかいう人がやると、「これってシャッフル?エイト・ビート? なに? この人…うまい…の?」と悩んでしまう、と。
まあ、ジョンのカッティング・ワークも極めようとしたらとんでもなく奥が深いそうですし、ポールもモコモコした音のヘフナーで余計な細かいフレージングをしていたりして、百回聴き直してもまだわからん、みたいな。とりあえずどのパートもちゃんと再現するには市販のスコアなんかは全然当てにならない、と。

で、耳から血が出るほど聴き返して耳コピし、精進に精進を重ね、各種リッケンを買いグレッチを買いヘフナーを買い、ビートル・スーツ風の服を買い、ブーツを買ってもまだ本物と一緒にならん、と。
で、通常はそのころには諦めて「普通のコピー・バンド」として楽しく演奏するわけですが、更にパラノイア的に「リンゴの音が再現できないのは、リンゴが左利きで右用ドラム・セットを使ってる。俺は右利きで右用セットを使ってる…。そのせいか?」と左利き用ドラム・セッティングを真剣に検討してみたり(ジミ・ヘンをコピるのに左用ギター逆さに使うのと同じ発想ですね)、「ディス・ボーイ」のコーラスを拾いやすいようにと全方向性マイクを購入したり、VOXのビンテージなアンプを購入したり、街の古道具屋でシタールを見かけ「これを弾きこなせばシンセ使わずにすむな…」とやはり購入に踏み切りそうになったり(あるいは踏み切ったり)するわけです。

で、コピーする方向性はもっと色々あるわけで、「何年何月のどこそこでのビートルズのステージを再現する」ということで、曲順はもちろん、MC、立ち位置、演奏の間違え部分等までコピったり、「トゥモロウ・ネバー・ノウズ」や「イッツ・オール・トゥー・マッチ」のような難易度の高めの曲ばかりやったり、かのメリーメイカーズのように、本当にオーケストラと共演して「サージェント・ペパーズ」完全再現ライブをやったりするわけです。

これらすべて、度が過ぎているわけで、やり過ぎなわけで、私的にはすごく好きです。再現したい本能炸裂というか、暴走というか。「音楽を純粋に楽しむ」方向性からは完全にずれてると思うのですよ(笑)。でも、楽しい。

で、ビートルズのコピー・バンドの起源がいつに遡るのかは定かではありませんが、「こういうのもありだよ」とはっきり最初に指し示したのは、このバッド・ボーイズなんではないかと。
メンバーはジョン役・廣田龍人(いわゆるリッキーさん。その後Ricky & REVOLVER、現在もREVOLVERというバンド名で活動中)ポール役・清水仁、ジョージ役・川端孝博、リンゴ役・城間正博の諸氏。
レコード・デビュー前からビートルズならほぼどんな曲でもこなし、客からのリクエストに応じられなかった場合は罰金を科すという荒技までしていたそうだ。

"Meet The Beatles"の日本編集盤をジャケ、曲目、そして当然演奏も完コピしたこのアルバム、まあ本当に大したもんであるというか、やはりやり過ぎであって、私的には大変好きです(笑)。当時16トラックだった機材のわざわざ4トラック分だけを使って、ほぼ一発取りで録ったそうだ。一部ハーモニカで苦しんだり、ジョージの例の妙なギターや、ポール役のキーのきつさとか、細かく言えば色々あるが、ヘッドホンでじっくり聴いてても時々「ビートルズを聴いている」錯覚に捕らわれる演奏力、再現力は大したものだ。ビートルズ本人達だったら、こんなに再現できないのは間違いない(笑)。

実際、初期のアルバムって私はあまり聴かないので、「あー、たまには初期ビートルズもいいねぇ、って本当はビートルズじゃないじゃん>おれ」とひとり突っ込みをしながら楽しく聴きました。

ところで、彼らは結成当時からオリジナル曲も作り、ステージで披露したりもしてたそうだが、あまり受けなかったそうだ。当人達には残酷だが、これって分かる。というのは、僕も六本木キャバーンであるバンドを観てたとき、ビートルズ曲の合間にオリジナル曲を挟まれてどっちらけになった経験があるから。曲の善し悪し以前に、「注文と違う料理がでてきてしまった」意識が客に強いわけで、致し方ないんでは。
これって、どっちかだと思うんですよ。コピー・バンドに徹するか、ラトルズやキャッシュのようにビートルズっぽいオリジナル曲で固めるか。そして、そこからオリジナル度を上げていって、最終的に別物になるというのが、キャッシュが指し示した可能性なのだろうけど、先駆者バッド・ボーイズはそこら辺は失敗してしまったようだ。

正直、ボーナスで付いているシングル4曲は「……」という感じである。唯一、小田和正とバッド・ボーイズの共作である[18]は割りと好きですが。
吉田拓郎氏はレコード会社に担ぎだされる形でデビュー曲を提供したようだ(オリジナル・アルバムのライナーまで書いてる)。ビートルズに何を教わったかは知らないけれど、とりあえず曲作りは教わらなかったようです。

(うらわ)

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Bad Boys "Meet The Bad Boys!"

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Badfinger
"Magic Christian Music"

Produced by Paul McCartney
/Tony Visconti/Mal Evans ('70)
1 Written by Paul McCartney
2&8 by Pete Ham & Tom Evans
3 by Ron Griffiths
4,6,11,14 &15 by Tom Evans
5,9,10 &12 by Pete Ham
7 by Tom Evans/Pete Ham/Mike Gibbons
13 by Tom Evans/Pete Ham/Mike Gibbons/Ron Griffiths

1.Come And Get It
(マジック・クリスチャンのテーマ)
2.Crimson Ship
3.Dear Angie
4.Fisherman
5.Midnight Sun
6.Beautiful And Blue
(美しく青く)
7.Rock Of All Ages
8.Carry On Till Tomorrow
(明日のかぜ)
9.I'm In Love
(愛のとりこに)
10.Walk Out On In The Rain
(雨の散歩道)
11.Angelique
12.Knocking Down Our Home
13.Give It A Try
14.Maybe Tomorrow

CD Bounus Tracks
15.Storm In A Teacup
16.Arthur

関連項目:
Joey Molland "After The Pearl"
Mike Gibbins "A Place In Time"
Tom Evans with Rod Roach "Over You"

まずは、バッドフィンガー。
誰が名づけたか、ビートルズの弟バンドというやつですな。数少ないアップル出身アーティストということで、皆さん名前は必ず聞いた事があるでしょう。でも、実際手を出している人は意外と少ないのでは?
あなたがジョン派ではなく、ポール派だというなら超お勧めです。まじお勧めです。最高です。

バンドのプロフィールから簡単に申しますと、もともとはアイビーズという名前で68年にアップルからデビューしたのですが、その時のメンバーは、
ピート・ハム(ギター)、ロン・グリフィス(べ-ス)、トム・エヴァンス(ギター)、マイク・ギブンス(ドラム)
でした。それで、まあ『メイビー・トゥモロウ』というシングルと、同名のアルバムをだしたのですが、あんまりぱっとしなかったわけです。

これじゃあかんなー、名前を変えてもう一回出してみるかー、とバッドフィンガー名義で出したシングルが[1]なわけです。(なんか日本のアイドルみたいな戦略ですな)

これはビートルズ側が「ちょっと真剣に宣伝してみました」という感じで、ご存知の通りポール作詞作曲、そしてリンゴの主演映画(見てませんが)『マジック・クリスチャン』の主題歌なわけです。それでバリバリ全英4位に輝いたと。

そんなこんなしてる中で、メンバーは、ロン・グリフィスが抜けて、代わりにゲイリー・ウォカー&ザ・レインのジョーイ・モーランドがギターで加入。そしてトム・エヴァンスはベースにコンバートして、いわゆる黄金時代(?)のメンバーがそろう。そして云々かんぬん…。

さて、アルバムを見てみると、やはり[1]が目立ってますよねー。
アンソロジー3で、ポール・バージョンは聴いた、という人は多いでしょう。コーラスが色々付け加わっているだけで、あれのほぼコピーと言っていいでしょう。好みによるでしょうけど、僕はポール・バージョンの方が、よりシンプルで好きです。

でも皆さん、この曲についてもう一つ。さっき述べた通り、もともと『カム・アンド・ゲット・イット』は『メイビー・トゥモロウ』がこけっちゃった経緯があってポールが提供したわけです。
デビュー曲こけっちゃたので2曲目はプロの曲で慎重に、これってどっかで聞いた事ありませんか。

そう、ビートルズも『ラブ・ミー・ドゥー』がいまいちで、ジョージ・マーティンに『ハウ・ドゥ・ユー・ドゥー・イット』を録音させられたのですよね。でも、ビートルズはその時『やっぱ、イヤ!』と言ったわけですが、バッドフィンガーはそう言えなかったわけです。
ポールという人は、小学校の時、「自分がやられたら嫌なことは他人にやってはいけません」と習わなかったんでしょうか。(個人的にはこういういい加減なところがすごく好きです)

しかし、このアルバム、聴き所は[1]だけじゃないすよ。いい曲多いっすよ。
[6][14]はトム・エヴァンス得意の堂々名曲ハイ・トーン・バラードだし、[5][7][9]のピート・ハム・ロックン・ロール路線もかっちょいい。しっとりフォーク風の[8]、50年代風の[10]と全部いい!捨て曲なし!

でも、一方で全体にもっさりしたサウンドではある。これはまあ、デビュー・アルバムだということと、曲の半分以上がマル・エヴァンスのプロデュースである事が原因でしょうか。
『レット・イット・ビー』でハンマー叩いていた様子からすると、とても音楽の知識なんかなさそうに見えるんですけど、本当のところどうなんでしょうか?(うらわ)

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Badfinger
"No DIce"
Produced by Geff Emerick ('70)
1,4,5&12 Written by Pete Ham
2,6,8 by Tom Evans/Joey Molland
3 by Joey Molland
7&11 by Tom Evans
9 by Mike Gibbins
10 by Tom Evans/Pete Ham/Mike Gibbins/Joey Molland

1.I Can't Take It
2.I Don't Mind
3.Love Me Do
4.Midnight Caller
5.No Matter What
(嵐の恋)
6.Without You
7.Blodwyn
8.Better Days
9.It Had To Be
10.Watford
11.Believe Me
12.We're For The Dark

CD Bonus Tracks
13.Get Down
14.Friends Are Hard To Find
15.Mean Mean Jemima
16.Loving you
17.I'll Be The One

70年発表のセカンド。ジョーイ・モーランドが加入していきなり活躍。彼はロックン・ロール・モードのポールのような曲を書き、声も顔もちょっと似ている。ますますバンドはビートルズっぽさに磨きをかけることになる。

優秀なソング・ライターが3人揃ったことでアルバムは充実。プロデュースもジェフ・エメリックに代わってタイトな音になった。
個人的にジェフ・エメリックのプロデュースは大好き。クリアで、やり過ぎなくて、バランスが良い。もともとエンジニアの出身なので、いい音に録ることを主眼においているせいかもしれない。

聴き所の多いアルバムだけど、やはり全米8位全英5位の大ヒットの[5]、ニルソン(もしくはマライア・キャリー)のカバーで有名な[6]が目立っている。

(どうでもいい情報その1)
カラオケでどうしてもバッドフィンガーが歌いたければ[6]しかない。歌う時は自己陶酔気味にこぶしを廻して歌おう。ただし、「ニルソン」の項にあるので注意。
(どうでもいい情報その2)
[5]はあのジェリー・フィッシュがカバーしていた曲。でも、ピート・ハムの演歌系ボーカルのほうが良い!

[1]や[3]([3]はビートルズとは同名異曲)で聴ける、ピート・ハムとジョーイ・モーランドのギター合戦は、テクニック的にはどうということもないのでしょうが、何度聴いてもスリリング。思わず口ギターでコピってしまう。

[7]はカントリー風の小品ながら、とてもいいメロディー。バッドフィンガーのベスト・テープを作るなら絶対入れたい。うん、でもどの曲もいい!名作だ!
ところでジャケットの姉ちゃん、なかなか艶っぽいけど、誰なんでしょうか。(うらわ)

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