| アル・ヤンコビックといえば、徹底したパロディ・ビデオが話題になった「今夜はイート・イット」がアメリカでヒットした時に来日も果たし、「おれ達ひょーきん族」に出演、「ひょーきん・ベスト・テン」で歌っていた記憶がある。その時はエビの着ぐるみをしていた西川のりおの腕に噛みついて(しかも2回)、「なんや!?このおっさん」と他の出演者を引かせていた。
TVの前の僕も「頑張ってるのは分かるけど、所詮日本とアメリカ、笑いの質が違うんだよね」と結構冷静に見ていた(当時中学生)。
アル・ヤンコビックの笑い、そんなわけでそれ程興味がなかったのだが、「ベスト・ヒット・USA」で、このアルバムの冒頭曲[1]のプロモが流され、曲後の克也さんのおしゃべりタイム、バックに流れていたのはアルによる「セット・オン・ユー」のパロディー曲だった。
流れたのは一瞬だったので、どうしてもちゃんと聴きたくてアルバム購入も考えたが、当時の僕の小遣いでは、どう考えてもそれは無理だった(一曲だけのためにこれ買うよりも、他のCD買ったほうがいいか〜、みたいな)。
で、12年後のこの間、中古レコード屋で450円で売っていたので買ってみました。
「セット・オン・ユー」話を少しすると、これは初めてリアル・タイムに買ったジョージのソロ・アルバム『クラウド・ナイン』のファースト・カット・シングルであるし、感慨深い。チャート的にもグングン上昇して興奮したなあ。「一位になっちゃうかも〜」みたいな。
実際、「アメリカの有名な業界紙」ラジオ&レコードでは一位を獲得。克也氏も「この曲は彼の息子が『これいい曲だね』と言ったことからシングル・カットしたそうです。実はこの曲ラジオ局から徐々に火がつき、ヒットしました。『ビートルズのおまけ』で、一位を獲ったわけではないようです」とコメントしたのを覚えている。
「FMステーション」の全米シングル・チャートの見出しも「年明けの一位はジョージ・ハリスンで和やかに幕開け〜」とか書いてあったような。
先にも書いたように、僕にとってのアルのパロディは「今夜はイート・イット」なんかで分かるように、割りと理詰めの徹底した物まねの印象。あと、原曲の歌詞の韻を踏みつつ、いかに下らない歌世界を構築するかなんだろうけど、ここら辺英語分からない人間にはつらいんだよね〜、と思っていた。
で、件の「セット・オン・ユー」のパロディー曲である[3]を何気に聴いたら、受けまくってしまいました。この歌詞面白いっすよー。何しろ、歌詞ないんだも〜ん。
「♪歌詞が6語分しかないんだよ〜」から始まって「♪何も歌詞を思いつかなったんだよ〜」と延々「歌詞がない」という内容のことを歌い続けている。途中「♪どうやって3分持たせようか〜」なんてぼやきつつ、結局「歌詞がない」という内容のまま終わる。
こういう歌詞だったんだ〜。くだらね〜。少し感動しました。途中「歌詞がない」と言いながらも微妙に原曲の詞を引用したり韻を踏んだりして、「職人芸だなあ」と感心もしました。
あの喉に何か引っかかったようなジョージの歌い回しも、結構上手く真似してますしね。
完全に余談だが、この中古盤、いわゆる見本盤だったのだが、レコード会社の「リリース企画書」なるもののコピーがもろに入っててびっくりしました。「キャッチ・コピー」「セールス・ポイント」「アルバム紹介」「アーティスト・インフォメーション」などからなるもので、同時に封入されていた萩原健太氏のライナー・ノートと見比べると、「なるほど、ライナーってこういう資料見ながら書くのだなあ」とよく分かる。ラジオのDJなんかもこういうの見てしゃべってるのでしょう。っていうか、そんな業界の仕組みを垣間見せるなよ>売り主。ちゃんとこういうものは抜いておくように(笑)。
その「アルバム紹介」よると、[2]はデイヴ・リー・ロス風、[4]はDEVO風、[5]はティファニー「ふたりの世界」のパロ、[6]は「ラ・バンバ」のパロ、[7]はスミス風、[9]はポリス・サウンド、[11]はジョームス・テイラー風とのこと。
ところでこのアルバム、海外では"FAT"ではなく、"EVEN WORSE"のタイトルで売られているようだが、確かにその方が面白いネーミングかも。(うらわ) |